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NZ最大手乳業メーカーフォンテラ、米国での合弁事業からの撤退を発表

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 ニュージーランド(NZ)の最大手酪農協系乳業メーカー、フォンテラは11月、米国の酪農協系乳業メーカー、Dairy Farmers of America(以下「DFA」という。)(注1)とともに、株式を半分ずつ所有している合弁の乳業メーカー、DairiConcepts(以下「DC」という。)(注2)の株式をすべてDFAに売却すると発表した。
 フォンテラは、「DCのビジネスは、ほぼ完全に単独の経営体として機能している。DFAとは、どちらか一方が株式をすべて所有し、企業形態を簡略化した方が良いという合意に達した。フォンテラの戦略の中では、DCは重点化を進める事業には含まれていない。」と、今回の売却の理由を説明している。
 その一方で、フォンテラは「米国はフォンテラのかかげるグローバル・マルチ・ハブ戦略(世界各地に事業拠点を確保する戦略)の一翼であることに変わりはない。フォンテラは、DFAとは同じ協同組合系企業として、世界の乳製品需要の増大を目指し、長期的に関係を築き上げてきており、その関係に影響を与えることはない。」と米国市場や同国でのパートナーであるDFAとの関係の重要性を強調している。これは、今回の決定が業界に与える影響の大きさを考慮したコメントとみられる。
 なお、今回の株式売却は、2015年12月31日付けで実施される予定となっており、フォンテラは、売却総額は1億9600万NZドル(161億円:1NZドル=82円)に達するとしている。


(注1) DFAは、1998年、4つの酪農協系乳業メーカーの合併により設立された米国の大手酪農協系乳業メーカー。その後も相次ぐ合併により企業規模を拡大。現在は、全国規模で生乳を集め、粉乳、バター、チーズなど様々な乳製品を製造。

(注2) DCは、2000年、フォンテラとDFAの合弁企業として設立された乳業メーカー。フォンテラとDFAは50%ずつ株式を所有。主な製品はチーズと、乳由来の濃縮物・添加剤・風味増強剤などの原料系乳製品。米国国内に乳業工場を8施設所有。近年は、南米、欧州、アジアなどへの輸出も活発化。
【根本 悠 平成27年11月25日発】
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