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トウモロコシ、牛肉などの輸出税を撤廃(アルゼンチン)

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 アルゼンチンのマクリ新大統領は2015年12月14日、選挙公約としていたトウモロコシ(20%)、小麦(23%)、牛肉(15%)の輸出税を撤廃し、大豆の輸出税(35%)を2016年から5%ずつ削減する法案に署名した。また、同大統領は、大豆かすおよび大豆油の輸出税(32%)についても2016年に27%に引き下げる方針とみられている。
 アルゼンチンでは、前政権下による「国内供給優先」政策として、トウモロコシ、小麦、牛肉などに課された輸出税がこれらの農畜産物の生産、輸出を阻害する大きな要因とされてきた。
 現地報道によると、すでに国内の穀物生産農家では、輸出税廃止を視野にトウモロコシなどの作付面積拡大の動きが出ているとされ、これらの農畜産物の生産増、輸出拡大が期待されている。また、大豆偏重のバランスが見直されることで連作障害などが改善し、生産性向上につながるとみられている。
 一方、同じく選挙公約に掲げていた「通貨ペソの市場原理に即した変動相場制への移行」と「外貨購入の自由化」については、12月16日から見直しに動いたとみられている。同17日付けの現地為替相場は、前日の1米ドル9.83ペソから同13.4ペソへと大幅なペソ安に転じている。これにより、前政権時に中央銀行が介入することで実体経済よりもペソの価値が高く保たれてきた為替問題が解消され、実質的にペソが切り下げられることとなった。
 現地の飼料穀物関係者は、輸出税の撤廃や削減に加え、市場原理に即した変動相場制に移行することにより、今後、穀物生産者や大手穀物企業が保留していた穀物の輸出が加速するとみている。
 なお、選挙公約では、トウモロコシや小麦に設定している輸出許可数量の撤廃も掲げられており、関係者は、その時期が早まることを期待している。
【米元 健太 平成27年12月18日発】
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