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NZ一次産業省、畜産物の短期需給見通しを公表

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 ニュージーランド(NZ)一次産業省は12月15日、2016/17年度までの畜産物需給見通しを公表した。これによると、乳製品輸出は減少の後、回復に向かい、牛肉輸出は堅調に推移するとしている。

乳製品輸出、2016/17年度は回復

 2015/16年度(6月〜翌5月)の生乳生産量は、気温と降水量が平年を下回り、牧草の生育環境が良くないことから、前年度比6.8%減と見込んでいる(表1)。また、乾燥気候に加え、安い生産者乳価、高い牛肉価格を反映して、多くの酪農家が、泌乳能力の劣る経産牛の淘汰を進めていることも減少要因としている。
 なお、エルニーニョ現象による干ばつの影響については、当初、懸念されていたほど深刻ではなく、今後の生乳生産量に大きな影響を及ぼさないとしている。
 さらに、2016/17年度の生乳生産量は、需要回復の見込みから前年度比3.3%増と見込まれるものの、過去最高となった2014/15年度比では、依然として3.7%下回るとしている。
 一方、2015/16年度(7月〜翌6月)の乳製品輸出量および輸出額は、それぞれ前年度比6.6%減、3.7%減と見込んでいる。NZ一次産業省は、乳製品の国際価格について、弱い需要とそれを上回る供給により、低水準にあり、この傾向が輸出量および輸出額の減少につながっているとしている。中でも、中国の全粉乳在庫の過多、ロシアの禁輸措置によるEUのチーズなどの供給過多、さらに、経済悪化に伴うブラジルの需要減少による影響の大きさを特筆している。ただし、米国市場については、堅調な需要の拡大が続いており、NZからのチーズ、バター、ホエイの輸出が増加しているとして、期待を示している。
 また、2016/17年度の乳製品輸出量および輸出額は、それぞれ前年度比5.2%増、32.2%増と見込んでいる。これは、国際的な乳製品需要が緩やかに回復するためとしている。中でも、全輸入量の80〜90%をNZ産が占める中国の全粉乳需要は、2016年初めから徐々に回復に向かい、輸出量および輸出額の増加を後押しするとしている。
表1

牛肉輸出、堅調に推移

 2015/16年度(7月〜翌6月)の牛肉輸出量および輸出額は、それぞれ前年度比1.7%増、15.4%増と見込んでいる(表2)。これは、経産牛淘汰が増加する中で、米国の輸入需要増加に伴う輸出価格の上昇が影響している。なお、2015年1〜11月のNZ産牛肉の米国向け輸出量は21万2539トンであり、米国がNZ産牛肉に対して設けている低税率輸入枠(2015年は21万4302トン)を初めて充足するとみられている。
 一方、2016/17年度の牛肉輸出量および輸出額は、それぞれ同1.4%減、5.2%増と見込んでいる。輸出量は、経産牛淘汰が落ち着くことで前年度をわずかに下回るものの、輸出額は、米国からの継続的な需要に伴い、さらに増加するとみられている。また、今後は米国市場での競合国である豪州の供給余力が、干ばつ後の牛群再構築の本格化に伴い減少し、NZの牛肉輸出を後押しするとしている。
表2
【根本 悠 平成27年12月22日発】
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