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豪州・NZ、WTOの農産品輸出補助金撤廃の合意を歓迎

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 豪州のロブ貿易相、ニュージーランド(NZ)のマックリー貿易相は12月20日、12月15〜19日にかけて、ケニアの首都ナイロビで行われた第10回世界貿易機関(WTO)閣僚会議における、農産品に関する輸出補助金撤廃の合意を歓迎する声明をそれぞれ発表した。

 豪州のロブ貿易相は、「過去数十年にわたり、輸出補助金は豪州の農業経営者の生活を圧迫してきた。今回の輸出補助金撤廃の決定は、長らく維持されてきた農産物貿易における歪みを恒久的に取り除くことを意味する。これは、豪州の多くの農業経営者にとって勝利である。過去20年のWTO交渉において、初の農業に関する成果である。豪州は「ケアンズグループ」を代表して、極めて重要な役割を果たした。」として、歓迎の意思と合意に対する豪州政府の関与を強調している。

 一方、NZのマックリー貿易相は、「今回のナイロビの閣僚会議で最も重要な結果は、輸出補助金撤廃の合意である。これは、過去数十年にわたり、NZ政府が目指していた最優先の課題であった。この結果により、NZの輸出業者は、輸出補助金を得ていた他国の輸出業者との競合において、便益を得ることができる。さらに、この合意は、アフリカ諸国や発展途上国にとっても国際的な貿易環境が改善され、便益がもたらされる。」として、歓迎している。

 今回のWTO閣僚会議では「輸出競争」が議題の一つとなり、輸出補助金について、先進国は、例外品目も多いものの原則的に即時撤廃、発展途上国は2018年末までの撤廃が合意された。ただし、発展途上国については、2023年末まで、さらに後発発展途上国と、食料純輸入国である発展途上国については、2030年末まで、マーケティングや輸送などに関連する一部の輸出補助金について、「引き続き便益が得られる」としており、輸出補助金の維持が可能となっている。

 豪州やNZの農畜産業は、輸出比率が高い一方で、各種補助金などがほとんどなく、農業経営者はより自律的な経営能力が必要とされる中で、生産を維持拡大してきた。そのため、両国は、他国にも各種補助金や関税などの撤廃を求める傾向が強く、今回も両国政府・生産者団体などは、輸出補助金撤廃の決定を歓迎している。
【根本 悠 平成27年12月24日発】
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