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有機野菜の38%から残留農薬などが検出(香港)

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最終更新日:2016年3月23日

 香港の消費者団体である香港消費者委員会は3月15日、香港で販売されている野菜127点を対象にした農薬および重金属の検査結果を公表した。これによると、有機野菜として販売されていた73点のうち、28点から農薬成分などが検出された。
 検出された主な品目と農薬成分は、アブラナ科の中国野菜であるサイシンからジフェノコナゾール(殺菌剤)、トマトおよびはくさいからジメトモルフ(殺菌剤)、いんげんからプロクロラズ(殺菌剤)およびクロルピリホス(殺虫剤)、紫いもからクロルピリホスなどとしている。このうち、いんげんおよび紫いもから検出されたクロルピリホスは、残留農薬基準値を1.4〜3倍上回る量であった。また、にんじんからは重金属のカドミウムが検出されたとしている。
 同委員会は、この結果を主務官庁である食物環境衛生署食品安全センターに報告し、違法なケースの取締りを求めている。

 域内面積が狭く都市化が進行した香港は、食料のほとんどを中国本土などからの輸入に頼っているが、中国本土で食の安全に関わる問題が多く発生したことから、住民の多くが高くても食の安全に配慮した食料を志向するようになっている。このため、郊外を中心に香港での農業生産も徐々に行われるようになり、政府も技術支援などを行っている。
 このように食の安全志向が高まる中、住民には、値段は高いが安心できる日本産野菜の人気が高い。以前から、日本の各産地は、いちごなどの果実的野菜を中心に香港向けの輸出を行ってきた。近年は、日本の生産者、輸出業者の一部で、香港に物流網を持つ物流業者と提携した輸出を行う者も出てきたほか、大手野菜宅配業者は香港域内でインターネット販売を行うなど、活発な動きが見られる。


【伊澤 昌栄 平成28年3月23日発】
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