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海外での酪農技術支援のため、酪農輸出産学研協力団を組織(韓国)

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韓国農村振興庁(RDA)は5月20日、酪農分野の専門技術、人材、情報などを共有し、海外での支援を行うため、酪農輸出支援産学研協力団(協力団)を組織したと公表した。
協力団は、RDAの下部組織である国立畜産学院(NIAS)が中心となり、国立全北大学校(全大)、韓国農協中央会牛改良事業所(NH)、動物医薬品工業会、飼料協会など、酪農関連の産学研の各組織、団体などで構成されている。協力団における主な構成組織・団体の主な役割は以下の通り。
・NIAS
品種改良、給餌・繁殖技術の支援のほか、RDAが政府開発援助の一環として実施する海外農業技術開発事業(KOPIA)を介して、支援先国での韓国製の酪農関連資材の普及拠点を整備する。
・全大
支援先国で韓国製の酪農関連資材などを活用できる酪農指導者の育成を行う。
・NH
精液の輸出と人工授精などの繁殖技術を支援し、NIASとともに乳牛能力検定と飼養管理記録システムの構築を行う。
・動物医薬品工業会および飼料協会
韓国の酪農関連企業・団体が支援先国への輸出を行う際の支援とともに、支援先国の輸入業者・販売業者、獣医師を対象とした技術指導を行う。
 
NIASのオソンジョン学院長は、協力団が組織されることで、支援先国が求める技術支援を行うことで支援先国の酪農振興につながり、さらには韓国製の酪農関連資材や遺伝子資源の輸出拡大につながることを期待するとしている。
協力団は5月末に、品種改良・繁殖・飼養管理技術の専門家で構成した酪農技術支援団を東アフリカのウガンダに派遣し、東アフリカ諸国における酪農振興の支援と酪農関連資材の輸出拡大を目指すとしている。
協力団によると、東アフリカ諸国はアフリカの中でも伝統的に牛乳の消費が盛んであるものの、現地で飼養されている乳牛の泌乳能力が低く、品種改良の必要性が高いことから、遺伝子資源の市場として有望であるとしている。
 

参考)酪農関連分野における韓国のアフリカへの進出

市場規模の小さい韓国は、グローバル戦略による利益確保を目指し、工業分野などを中心に、今後の経済発展が見込めるアフリカへの進出を行っており、農業分野においても、ケニアなど6カ所を拠点に技術支援を通じた市場開拓を行ってきた。酪農関連分野においては、2014年から、NHが東アフリカ諸国に対して、技術指導とセットで乳牛の精液輸出を行っている。
NHによると、東アフリカ諸国の人口は、韓国の4倍に当たる2億人であり、経済成長率が毎年5〜7%に達しており、牛乳の消費量が急増していることから、韓国の酪農関連業界にとって有望な市場になっているとしている。
 
【伊澤 昌栄 平成28年5月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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