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大豆の輸出税率引き下げを延期(アルゼンチン)

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 アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領とリカルド・ブルジャイレ農産業大臣は10月3日、想定を上回る深刻な景気低迷で税収不足に陥っていることを背景に、2017〜19年における大豆の輸出税率引き下げスケジュールを見直す方針を発表した(表)。
今回の決定は、2017年予算における財政赤字額が当初の見込みを上回る水準にまで膨らむ可能性が高くなり、税収増につながる一手が必要となったことが背景にあるとみられている。

 同国では、マクリ政権が2015年12月10月に誕生した直後、トウモロコシや小麦などの輸出税を即時撤廃し、大豆関連の輸出税についても毎年5%ずつ引き下げることを決定した。これにより、大豆の輸出税は同年12月17日、30%に引き下げられたが、今回の決定を受け、2017年末まで現行の水準に据え置かれる見通しとなった。
 また、その後の引き下げスケジュールも明らかとされたが、その理由としてブルジャイレ大臣は、大豆生産者の生産意欲をそがないように配慮したものとしている。政府としては外貨獲得上、最も貢献度の高い大豆関連輸出に引き続き大いに期待をしており、これまで大豆の輸出税に反対してきた主要農業団体Coninagroは、「国家の厳しい経済状況を鑑みれば、政府の税率の決定を受け入れる必要がある」と、今回の決定に一定の理解を示している。

 なお、マクリ大統領は同じく3日、北部の大豆生産者に対して、輸出に際して割高な輸送費を相殺するための措置として5%の戻し減税(Refund)を実施する方針を述べており、主産地と異なり、競争力のない北部地域に配慮した政策も打ち出している。
表
参考
【米元 健太 平成28年11月2日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4391