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フィリピン、インドネシア向けの脱脂粉乳輸出が急増(米国)

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 米国農務省(USDA)によると、2016年1〜10月の米国の脱脂粉乳輸出量は、前年同期比0.8%減の46万6000トンにとどまった。しかし、東南アジア向けは同7.6%増の16万トンとなり、このうち、フィリピン向けは同25.7%増の7万トン、インドネシア向けは25.6%増の4万3000トンと大幅に増加した(図)。このため、米国の脱脂粉乳輸出量に占める東南アジアの割合は、34.4%へ増加した。
海外情報図(脱脂粉乳輸出増)
 また、米国乳製品輸出協議会(USDEC)は、2016年12月21日に公表した米国の脱脂粉乳輸出に関する記事の中で、2016年の米国の乳製品輸出量は、前年を上回る見通しとしており、この要因として、東南アジア向けの脱脂粉乳輸出量の増加を挙げている。これに関し、米国の乳業メーカーや輸出業者は、フィリピンの粉乳輸入量が急増した機会をうまく捉えたとともに、脱脂粉乳の輸入量全体が減少しているインドネシアにおいてもシェアを拡大したとしている。
 フィリピンについては、2016年1〜9月の脱脂粉乳輸入量が前年同期比79.4%増(13万5000トン)と急増しており、メキシコおよび中国に次ぐ世界第3位の脱脂粉乳輸入国となっている。USDECによると、2016年の同国の輸入増加分の約半分を米国産が占めており、主に還元乳、アイスクリーム、育児用およびその他の調製粉乳の製造に仕向けられているとしている。また、フィリピンは、伝統的に価格に敏感な市場であるとして、国際乳製品価格の低下も輸入増の要因に挙げている。さらに、経済の急成長も大きな要因としている。国際通貨基金(IMF)などの専門家によれば、2016年のフィリピンの経済成長率は約7%とされており、2020年まで同様の成長率が続くとも言われ、今後も乳製品の消費増加に強力な後ろ盾を与える見込みとしている。
 また、インドネシアについては、2016年1〜7月の脱脂粉乳輸入量は、前年同期比2.4%減(8万1000トン)となったが、米国からの輸入量は、前述のとおり大幅に増加している。
【渡邊 陽介 平成28年12月28日発】
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