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2016年の生乳出荷量、6月以降減少に転じ0.5%増にとどまる(EU)

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 欧州委員会統計局が2月17日に公表した統計によると、2016年のEU生乳出荷量は、前年比0.5%増の1億5244万トンとなった。
 EUの生乳出荷は、乳価が高価格帯で推移した2013年末から2014年初め以降、2015年3月末の生乳クオータ制度の廃止を見込んだ増産傾向が長く続き、2016年に入ってからも2月には前年同月比10.0%増となるなど前半はその傾向が強かった。しかしながら、乳価低迷により多くの生産者が減産体制をとったことなどから、6月以降7カ月連続で前年を下回り、年間では前年をわずかに上回る程度となった。 
生乳出荷量の推移
 加盟国別に見ると、EU最大の生乳出荷国であるドイツが前年比0.3%増と微増となり、第2位のフランスが同2.5%減、第3位の英国が同4.3%減と減少に転じた。一方、第4位のオランダ(同7.5%増)、第7位のアイルランド(同4.4%増)は増加を続けている。乳価が低迷し、特に年後半には減産傾向が強まる国が多く見られたが、オランダ、アイルランドの両国は、乳用牛の飼養頭数が増加するなど生産基盤をさらに拡大しており、クオータ制度撤廃以降の勢いが続いている。
 
生乳生産量の推移(EU主要生産国)
 欧州委員会は、2016年10月から12月までを対象期間とし、乳価低迷に対応するための追加対策として生乳出荷削減奨励事業を実施した。生産者から約103万トンの減産申請があったが、対象期間の生乳出荷量は申請量を上回る125万トン超の減少となった。
 
 直近では、主に生乳生産量が減少傾向にあること、公的買入により相当量の脱脂粉乳が市場から隔離されたことなどを要因に、乳価は回復傾向にある。しかし、脱脂粉乳の公的在庫を市場に放出するための入札が実施されているなど、市場の方向性はまだ不透明という見方も強い。そのような中、欧州委員会は、12月に公表した中期見通しの中で、2017年のEUの生乳生産量を前年度から1%強の微増となる1億5410万トンと見込んでいる。
2016年の月別生乳生産量の推移(EU主要生産国)
【大内田 一弘 平成29年3月6日発】
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