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欧州委員会、野菜・果物生産者への支援措置の拡充を発表

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最終更新日:2017年3月22日

 欧州委員会は3月、ロシアの禁輸措置に伴う野菜・果物生産者に対する支援措置の拡充などに関する声明を発表した。

 本措置は、2014年8月に開始、当初の予定から延長され、2017年6月末までの間、農産物の市場隔離および商品作物の収穫放棄に対する支援金を交付するものである。今回、このうち、市場隔離への支援金単価の引き上げが発表された。同支援金は、生産者が野菜・果物を慈善団体などへ無償で援助する場合と、飼料・肥料などに仕向ける場合に適用される。今回の拡充は、無償援助に対する支援金単価が、過去5年の市場価格の平均の30%から40%へと引き上げられ、飼料・肥料など仕向けの場合は、同じく20%から30%へと引き上げられるものである。

 欧州委員会のホーガン農業・農村開発担当委員は、「欧州の農業と食料生産において、野菜・果物部門は極めて重要であり、欧州委員会は、これからも同部門を支援していく。世界的に見ても高品質な食料を生産している数百万の生産者の努力が十分に報われ、消費者がそうした食料を消費し続けるということが重要である。」として、支援策拡充の重要性を訴えている。同時に、「これまでの支援策により、野菜・果物生産者には、4億3000万ユーロ(528億9000万円:1ユーロ=123円)もの支援金が交付されている。」として、これまでの実績を示している。
 ただし、実際の支援措置の開始は、EU閣僚理事会および欧州議会における議決後となるため、2カ月程度かかるとみられている。

 また、本声明とは別の演説の場において、ホーガン委員は、ポーランド当局からの要請を受け、特定の果物については、支援措置を2017年7月以降も継続する意向を示している。詳細は明らかにされていないが、こうした例外措置が、他の野菜・果物にも広がるかどうか注目されている。


【根本 悠 平成29年3月22日発】
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