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カンボジアのキャッサバ生産増加も輸出価格の低迷が課題

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最終更新日:2017年4月20日

 4月4日付けの現地報道(クメール・タイムズ)によると、カンボジア農林水産省の公表値などを引用する形で、カンボジアの直近のキャッサバ産業の動向について報じられている。

生産量、輸出量ともに増加

 これによると、2016年のカンボジアのキャッサバ生産量は1320万トン(2012年比65.0%増)と、良好な気象条件により、4年前に比べ大幅に増加している。また、生産量の増加を受け、2016年のキャッサバ輸出量も、770万トン(同30.1%増)と、4年前に比べ大幅に増加している。

輸出価格は低水準で推移

 一方、キャッサバの輸出価格は、低水準での推移が続いており、これは、単に需給バランスの結果というよりも、カンボジアのキャッサバ産業の構造的な問題が背景にあるとされている。
 カンボジアでは、2カ所の小規模なキャッサバ加工工場しかなく、多くの生産者は、未加工のまま、隣国のタイやベトナムに出荷せざるを得ない状況にある。そのため、そうした状況を熟知しているタイやベトナムの輸入業者の中には、通常の市場価格よりも安価な取引を求める者も多く、低価格での推移をもたらす主因となっている。一方、タイやベトナムでは、比較的安価にカンボジアからキャッサバを調達し、国内で加工した後、比較的高値で主に中国に輸出している。
 カンボジアの2015年の中国向けタピオカでん粉の輸出額は5億5000万米ドル(605億円:1米ドル=110円)、タピオカチップの輸出額は15億6000万米ドル(1716億円)となっている。しかしながら、全国的に物流インフラが未整備であるため、輸送コストが高く、中国向け、他国向けともに拡大を図ることが困難な状態にあり、タイやベトナムへのキャッサバ輸出に依存せざるを得ない実態となっている。
 なお、同報道では、価格安定のための政府による介入を求めるキャッサバ輸出業者の意見を最後に掲載しており、キャッサバ産業を取り巻く情勢が反映されていると思われる。

 
【根本 悠 平成29年4月20日発】
 
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