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マトピバ地域の大豆・トウモロコシの増産に陰り(ブラジル)

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 2000年代以降に開拓が盛んになった新興農業地域のマトピバ地域は、北部4州(マラニョン州、トカンチンス州、ピアウイ州、バイーア州)の州境付近に広がっていることから、その頭文字を取って「マトピバ」と呼ばれている。同地域の大豆・トウモロコシ生産は、2014/15年度までは、土壌改良などによる収穫面積の拡大や、生産性の向上から堅調に拡大を続けてきたが、2015年/16年度は、大規模な干ばつにより2010/11年度以降で最低を記録した(図1)。
図1
 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は、2016/17年度の同地域の生産量について、干ばつからの回復に加え、天候が良好なことから、バイーア州を中心に増加し、過去最高となる見込みとしているが、過去数年間の干ばつにより、生産性が低下しているため、その将来性については、悲観的な見方も出てきている。特に、単収については、トウモロコシは一貫して全国平均を下回っており、大豆も2012/13年度以降全国平均を下回るなど、期待ほど伸びが見られていない(図2)。
図2
 収穫面積についても直近の2年間は伸び悩んでおり(図3)、2015/16年度の干ばつの影響で、資金不足に陥った一部の生産者が栽培を断念したとの報道もある。大手農業コンサルタントは、大豆栽培に適した未耕作地は多少残っているものの、降雨が安定的でないほか、肥沃度も劣るということで、マット・グロッソ州、マット・グロッソ・ドスル州、ゴイアス州、ミナスジェライス州などの地価の安い地域への投資を推奨しており、今後の拡大はさほど期待できないとみられる。
図3
 今後については、大豆を中心に生産が堅調に推移するという見方がある一方で、豊作による生産者販売価格の下落により、生産意欲が低下するとの見方も出ていて、その動向を注視する必要がある。
【佐藤 宏樹 平成29年5月1日発】
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