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ソニー・パーデュー氏が第31代米国農務長官に就任(米国)

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 ソニー・パーデュー氏の農務長官人事案は、4月24日の夜、米国上院本会議において87対11で可決された後、同氏は翌25日に最高裁判所内にてクラレンス・トーマス最高裁判事を前に宣誓式を済ませ、第31代米国農務長官に正式に就任した。
 同氏は、宣誓式を済ませた同日、農務長官としての職務を開始する前に、米国農務省(USDA)内で多くの職員を前に訓示を行った。その中で、政策の透明性確保、データと事実に基づく意思決定、消費者目線の取り組み、農産物輸出の重要性などについて述べるとともに、農務長官としての同氏の政策は、以下の「4つの理念」に基づくと語った。
  1.  雇用を創出するよう、また、世界中に食料や着物の原料となる食物や繊維を生産・販売するよう、さらには労働が十分な稼ぎとなって報われるよう、農業および農業ビジネス分野に関わる人材の能力の最大化を図る。あらゆる障害を取り除き、成長するためのあらゆる機会を農家や関連製造業者に与えることを政府は目指すべきである。
  2.  米国の納税者や消費者のために、サービスの優先順位を随時見直す。国民が、自分たちの政府が極めて誠実に、効率的かつ効果的に業務を実施することを期待し、要求するのは当然のことである。
  3.  国民は安全かつ不安のない食品の供給を望んでいることから、家族のために食卓に供される食料がUSDAの定めた厳しい安全基準を確実に満たすよう、重要な役割を引き続き果たしていく。食品安全は国家安全保障の鍵である。というのも、「飢え」と「平和」は長く共存しないからである。
  4.  米国農業の恵みは大地から直接得ているものだと常に心に留めている。そして、今日では、この大地は3億2000万人以上の国民と数えきれないほどの世界中の人々を支えている。父親から譲り受けた「我々は、所有であれ賃貸であれ、皆、土地の管理人であり、我々はそれを受け継いだ時よりも少しでも良くする責務があるのだ。」という言葉は今でも正しいと思っている。
 また、今般のパーデュー氏の農務長官就任に伴い、同国の主な畜産関連団体は、以下のように声明を発表している。

〇 全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA : National Cattlemen's Beef Association)
 毎日のようにUSDAで下される決定事項は、我々が事業を運営する上で、非常に大きな影響を与えるものである。我々は、業界出身でこのビジネスの複雑さをよく理解し、農村地帯の勤勉な農家のために怯まずに戦ってくれる長官を得ることができてとても興奮している。USDAを率いる新たな任務において、パーデュー長官と共に仕事ができることを楽しみにしている。 

〇 北米食肉協会(NAMI : North American Meat Institute)
 我々は本日付でパーデュー氏が新たな農務長官に就任したことを歓迎する。米国経済の最重要分野であり、米国を含む世界中の人々に食料を供給している米国農業の代表となる新たな役割において、同氏の生産者としての、そして獣医師としての経験は非常に有用なものとなるだろう。全米での食肉供給の安全性を確保すること、世界中への貿易アクセスを拡大すること、直面している問題に立ち向かうことなどについて、我々は同氏とともに共に活動できることを待ち望んでいる。

〇 米国食肉輸出連合会(USMEF : U.S. Meat Export Federation)  
 USMEFは上院において力強い両党からの支持を得たパーデュー氏の長官就任を心からの歓迎を申し上げるとともに、米国産の牛肉・豚肉製品を世界中により広めるための活動を共にできることを楽しみにしている。知事時代の実績や、上院における最近の証言からもわかるとおり、同氏が畜産業界の収益性の向上において海外との取引の重要性を理解していることや、輸出拡大に尽力してくれることは疑いのないことである。米国の農産品貿易にとっては非常に重要な、そしてかなり不透明な時代ではあるが、USMEFは同氏が米国農業のための推進者となり、トランプ政権が重要な貿易相手国と強固な関係を構築するための一助となることを確信している。

〇 全米豚肉生産者協議会(NPPC : National Pork Producers Council)  
 パーデュー氏は養豚業界のリーダーであり、畜産業界全体のリーダーでもあり、USDAにとっては不可欠な存在である。彼は米国の農家にとって相応しい存在だ。農業を良く知っており、農務長官としても十分に職務を全うするだろう。一方で、同氏は重要な時期にバトンを受け取ることになる。それは、次期農業法の議論や、豚肉を含む米国の農産物にとっての新たな市場アクセスを開拓することになるだろう自由貿易協定の議論が待っているためである。いずれにせよ、NPPCと米国養豚生産者はパーデュー長官と共に仕事することを楽しみにしている。

【参考】ソニー・パーデュー氏の略歴
  • 1946年12月20日、ジョージア州生まれ。
  • 地元のWarmer Robins高校を卒業後、1971年にジョージア大学で獣医学の博士号を取得。1971〜74年にはオハイオ州で米国空軍に従事し、わずか3年で機長へ昇進。その後、ジョージア州に戻るまでの間、ノースカロライナ州で獣医師として勤務。
  • 地元のジョージア州に戻った後、農業・運輸関連のビジネスを立ち上げ、小規模事業主に転身。
  • 1980年代に、地元ヒューストン郡の都市計画の委員を務めるなどの公的業務に携わった後、1990年にジョージア州の上院議員に当選し、2001年まで州議員として11年間活動。
  • 2002年末の知事選に勝利し、2003年1月に第81代ジョージア州知事に就任。2006年11月には圧倒的多数で再選を果たし、2011年1月まで合計2期を全うした。
  • 知事退任後、自ら共同設立者となった「Perdue Partners LLC」を立ち上げ、米国産農産物などを販売する貿易関連業務に従事。
  • 2017年のトランプ政権発足に伴い、大統領就任式前日の同年1月19日に次期農務長官候補に指名。連邦上院議会における、承認手続きを経て、4月25日に農務長官に就任。
  • 1972年にアトランタ出身のメアリー・ラフ氏と結婚。4人の子供と14人の孫を持つことに加え、これまでに8人のフォスター(里親が見つかるまでの仮親)を引き受ける。なお、ジョージア州選出の連邦上院議員であるデイヴィッド・パーデュー氏はいとこ。
  • 飛行機とヘリコプターの運転免許を今も保有しており、大学ではアメフト部に所属したスポーツマン。
【調査情報部 平成29年5月10日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397