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USMEFの春季会議でセング会長の勇退計画を発表(米国)

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 米国食肉輸出連合会(USMEF)の春季会議が52426日にヴァージニア州アーリントンで開催され、畜産関係者、政府関係者、議会関係者、各国大使館職員など合計約200名が出席した。

 会議では、さまざまなゲストスピーカーによる講演が行われたほか、牛肉・豚肉を中心とした需給状況や輸出状況に関する最新情報の提供から、組織運営の方向性、および将来問題となり得るCRISPR/Cas9(ゲノム配列の編集技術)までの多岐にわたる議論が行われた。

 また、各国に置かれているUSMEFの海外事務所のスタッフから近況報告やプロモーションの成果報告もあり、海外でのプロモーションなどの実態を牛肉生産者らの会員や政府関係者に理解してもらう重要な場ともなっていた。(USMEFの歳入の多くは、牛肉生産者のチェックオフ資金やUSDAの事業費から構成される。)

 さらに、今回の会議において、長年USMEFを率い、日本にも非常になじみの深いフィリップ・セング会長の勇退に向けた引継計画が公表された。マーケティング担当上席副会長であるダン・ハルストラム氏が後任として、本年121日付けで会長兼CEOに就く予定となっており、セング会長は、現職を退いた後も来年7月まで、名誉CEOとして残る予定とされている。

 本件について、USMEFの前議長で、次期会長候補の選定と推挙を担当した調査委員会を率いているルー・アンドリーセン氏は、ハルストラム氏が最有力候補となった長い道のりを説明するとともに、1982年にアジア担当ディレクターとしてUSMEFに入会して以来、長い間貢献してきたセング氏をたたえ、次のようにコメントした。
 

USMEFの執行委員会、会員、職員などを代表して、貴殿のとても長きにわたったリーダーシップと業界へのビジョンに対し称賛を送りたい。貴殿は食肉業界にとって疑いようのないレジェンドであり、抜けた穴を埋めることは極めて難しいだろう。偉大な伝説を残して去ることになるが、組織のために尽くしてくれた全てのことに対し盛大なる拍手を送りたい。」

写真 基調講演を行うセング会長
写真 基調講演を行うセング会長
 会長職を引き継ぐ予定のハルストラム氏は、アイオワ州で1200エーカーの穀物栽培と3000頭の肉牛育成を行う農家に生まれ、アイオワ大学を卒業後、Swift Independent Packing Company社の豚肉処理場で豚の仕入れからと畜、食肉処理、出荷までの一連の工程について現場で学び、その後、販売部門へと業務の場を移した。その後、食肉企業の再編により、世界最大の食肉企業であるJBS社の海外マーケティング部門を担当した。食肉業界で合計26年間にわたって従事した後、2010年にマーケティング担当上席副会長としてUSMEFに招かれ、世界18カ所の海外事務所を通じ、主として牛肉・豚肉の海外での販売促進部門の責任者として今に至っている。
 また、同氏は今回の発表を受けて、次のようにコメントしている。

「私は確実にセング氏の代わりを務めることはできないと思うが、足りない部分はUSMEFの非常に優秀な仲間の助けを得て、何とか補完したいと考えており、それこそが今後の大きな強みである。多くの人がセング氏のUSMEFでの長い経歴をご存じだと思うが、私も入会以来非常に多くのことを彼から学ばせてもらった。しかし、我々には香港、日本、韓国といった鍵となる輸出先国にもUSMEFにとても長い間従事してくれているスタッフがいる。彼らは各地における販売の基礎となり、各市場で毎日のように米国産の牛肉などの需要を喚起し、絶えずライバルの動向も注視してくれている。私はより一層この組織に深く関与し、彼らの知識と経験をフルに活用することを楽しみにしている。」
【調査情報部 平成29年6月6日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533