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2017/18年度冬作物の生産見通しを発表(豪州)

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 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は6月14日、2017/18年度(7月〜翌6月)の冬作物の生産予測を発表するとともに、2016/17年度の夏作物の生産予測の見直しを行った(注)

 (注)豪州の冬作物は、3月〜6月に播種、10月〜翌年2月に収穫を行う。また、夏作物は、10月〜翌年1月に播種、3月〜4月に収穫を行う。本発表の段階では、2017/18年度の冬作物は播種期であり、2016/17年度の夏作物については、収穫がほぼ完了したところである。

【冬作物】前年度の記録的な生産量から大幅に減少見込

 2017/18年度の冬作物については、作付面積は2245万ヘクタール(前年度比0.6%減)とわずかな減少にとどまるが、生育期間中の降雨が平年を下回る産地が多く、1ヘクタール当たりの収量が1.79トン(同32.1%減)と大幅に減少すると見込まれていることから、生産量は、4009万6000トン(同32.5%減)と大幅な減少が見込まれている(表1)。
 州別に見ると、作付面積はいずれの州も前年度並みだが、生産量は単収の減少によりすべての州で前年度を下回ると見込まれている。特にビクトリア州(599万トン、同42.0%減)や南オーストラリア州(667万トン、同40.5%減)など、前年度の単収が大きく増加した地域ほど大きく減少する見込みとなっている。主産地である西オーストラリア州は、前年度は霜の影響により単収が伸び悩み、生産量1位の座をニューサウスウェールズ州に明け渡したものの、2017/18年度は、最大の作付面積(833万ヘクタール)を背景に、1412万トン(同21.7%減)と生産量第1位となる見込み。
 品目別に見ると、作付面積は、小麦(1269万ヘクタール、同1.3%減)や大麦(388万ヘクタール、同3.8%減)など、主要品目が減少している一方、カノーラ(265万トン、同13.8%増)、ヒヨコマメ(110万ヘクタール、同2.9%増)、レンズマメ(39万ヘクタール、同26.2%増)は、他の品目に比べて収益性が高いことから増加している。しかし、生産量は、いずれの品目も単収が減少することで、大幅な減少が見込まれている。
 

【夏作物】生産量、ソルガムの作付面積の減少によりわずかに下方修正

 2016/17年度の夏作物については、作付面積は前回予測時(2月)から2.7万ヘクタール下方修正され、132万6000ヘクタール(前年度比12.7%増)、生産量は作付面積に加え単収も下方修正されたことにより23万8000トン下方修正され、398万トン(同5.3%増)となった(表2)。
 品目別に見ると、ソルガムについては、作付面積は前回予測時から2万5000ヘクタール下方修正され、41万6000ヘクタール(同38.9%減)、生産量は10万1000トン下方修正され、110万7000トン(同45.7%減)と、大幅な減少が見込まれている。また、綿実についても、降雨に恵まれず単収が低下したことから、前回予測時から9万7000トン下方修正され、135万8000トン(同52.6%増)と見込まれている。
 ソルガムは、これまで夏作物では作付面積、生産量ともに最も多かったが、綿実や米など収益性の高い他の作物への転作が進み、生産量は前年度の半分程度まで減少した一方、綿実は約1.5倍、米は約3倍と前年度から大幅に増加し、綿実が夏作物の中で最大の生産量となる見込みである。
 
【大塚 健太郎 平成29年6月16日発】
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