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アラバマ州で非定型BSEが確認される(米国)

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 米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は7月18日、アラバマ州ペリー郡の家畜市場において、非定型BSE(Bovine Spongiform Encephalopathy:牛海綿状脳症)の牛が確認された旨を公表した。なお、USDAは、当該牛は直ちに殺処分され、フードチェーンに出回ることはないため、米国における食品供給や公衆衛生上のリスクは発生しないと説明している。
170721海外情報図(BSE)
 APHISの発表によると、当該牛(11歳の肉用繁殖雌牛)は、家畜市場での通常のサーベイランスにおいて臨床症状を呈していたことから見つかったものであり、その後の国立獣医研究所(National Veterinary Services Laboratories:NVSL)の検査において、非定型BSE(L型)であることが判明した。

※非定型BSE:ウエスタンブロット法と呼ばれるBSEの検査において、異常プリオンタンパク質に汚染された飼料の経口摂取により発生する通常のBSE(定型BSE)とは異なるパターンを示すBSEである。発生数は定型BSEと比べて圧倒的に少なく、ほとんどが8歳以上の高齢牛で確認されている。発生原因は不明であるものの、孤発性の発生が示唆されており、ウエスタンブロット法の結果によりH型とL型の2種類に分類される。

 米国におけるBSEの発生は、2012年以来5年ぶり5例目となるが、ワシントン州においてカナダから輸入された牛で確認された1例目の事例を除き、全て非定型BSEである。
170721海外情報表(BSE)
 国際獣疫事務局(OIE)では、BSEについて加盟国からの申請に基づき、専門家による評価を行った上で加盟国のBSEステータスを認定しており、米国は2013年にステータスの最上位である「無視できるBSEリスク」の国に認定されている。非定型BSEの発生は同ステータスに影響を及ぼさないと定められており、今般の発生に伴い、米国のステータスに変更はない。
 また、米国産牛肉の日本による輸入についても、食品安全委員会によるリスク評価結果を踏まえて、輸入条件が設定されており、本発生により輸入は停止されない。さらに、他の諸外国の対応についても、本公表から2日が経過した20日現在、韓国が米国産牛肉への検疫を強化すると既に表明しているものの、先日輸出が解禁されたばかりの中国を含め、米国産牛肉に対し輸入停止措置を講じるような動きは確認されていない。
【調査情報部 平成29年7月21日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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