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中国資本による農地保有が大幅に増加(豪州)

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 豪州国税局(Australian Taxation Office、以下「ATO」という)は9月29日、豪州国内における海外資本による農地(以下「海外資本農地」という)の保有状況(注)に関する調査結果を公表した。  この調査は、豪州政府が2015年1月に発表した「海外からの投資に関する透明性を高めるための改革」に基づき、外国人、海外資本の企業などによる農地の取得状況を把握するもので、昨年9月に第1回目の調査結果が発表された。今回は2回目の調査結果となっている。

海外資本農地面積、わずかに減少

 ATOによると、海外資本農地面積は、5052万ヘクタール(前年比3.1%減)とわずかに減少した(表1)。地域別に見ると、南オーストラリア(SA)州は、前年比33.0%減と減少幅が最大であった。次いで、海外資本農地面積が最も広いクイーンズランド(QLD)州も10.8%の減少となった。その一方、西オーストラリア(WA)州は大幅に増加した。
 なお、ATOによると、海外資本農地の80%はリース契約によっているとしている。
 

用途別では、畜産のみ減少

 海外資本農地面積を用途別にみると、穀物、園芸などが大幅に増加した一方、全体の約9割を占める畜産が、4295万ヘクタール(前年比6.2%減)と減少したことが、海外資本農地面積全体の減少要因となった(表2)。
 

中国の割合が大幅に増加

 国別で見ると、英国は、1645万ヘクタール(前年比40.2%減)と、海外資本農地全体の約3割を占め、昨年に引き続き第1位であるものの、海外資本農地全体におけるシェアは、昨年の52.7%から32.6%へと大幅に低下した(表3)。一方、昨年第5位であった中国は、1442万ヘクタールと、前年の10倍近くまで大幅に増加した。これにより、海外資本農地における中国のシェアは、昨年の2.8%から28.5%へと増加し、英国に次ぐ第2位となった。豪州最大の牧場の買収もこの中に含まれているとみられる。
 
注:「海外資本による農地の保有」とは、豪州に居住していない個人、国外の企業・政府などが、主に第一次産業を目的として保有している農地を言う。国外の企業などが、農地の20%以上の所有権を有している場合および国外の複数の企業などが、合計で農地の40%以上の所有権を有している場合も含む。
【大塚 健太郎 平成29年10月3日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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