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インドネシア向け鶏肉輸出再開に高まる期待(ブラジル)

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 ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)は10月25日、世界貿易機関(WTO)の紛争解決パネル(小委員会)が10月17日に、衛生証明書の過度な承認遅滞などブラジル産鶏肉に対するインドネシアの規制がWTO協定違反であるとするブラジルの主張を認める報告書を発表したことを受けて、2009年以降停止しているインドネシアへの鶏肉輸出の再開へ向けた動きが本格化するとのプレスリリースを発表した。

 ブラジル地理統計院(IBGE)によると、インドネシアには、2007年には66万5000ドル、2008年には8万6000ドルの鶏肉が輸出されていた。

 現在インドネシアにおける1人当たり鶏肉消費量は年間6.3キログラムであり、世界平均の20キログラムを大きく下回っているが、経済成長に伴い、今後大きく伸びるとされている。ABPAは、インドネシア向け鶏肉輸出が再開すれば、年間7000万〜1億ドル相当の鶏肉をインドネシアに輸出することが可能と試算している。

 こうした試算の背景には、ブラジルが鶏肉輸出量の3分の1をサウジアラビアなどイスラム教徒の多い国へ仕向ける、ハラル認証鶏肉の世界最大の輸出国ということがある。インドネシアは、人口の80%以上がイスラム教徒であることから、解禁後の輸出拡大に期待が高まっている。

 WTOパネルの紛争解決ルールでは、パネルの判定に不服がある場合、60日以内であれば上級委員会に上訴できることになっており、上訴があった場合、上級委員会は上訴内容を審議し、2〜3カ月以内に決定を下す。また、上訴が棄却されたとしても、上訴した国は、決定内容の履行のために妥当な期間が与えられる。ABPAは、インドネシア側は本件について上訴しないと見ており、早ければ今年中に輸出を再開できると予測している。
【佐藤 宏樹 平成29年11月2日発】
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