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日本を高病原性鳥インフルエンザとニューカッスル病の清浄国と認定(米国)

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 米国政府は、10月16日付の米国連邦官報(Federal Register)において、日本を高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)とニューカッスル病(ND)の清浄国と決定する旨を公表した。
 日本政府は、さらなる輸出促進のため、日本産農産物の輸出相手国第2位である米国への、豚肉や鶏肉の輸出解禁を政府を挙げて目指しており、米国農務省(USDA)に解禁要請を行っている。
 この決定は、日本産鶏肉の解禁要請を受けた米国政府において、米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)が、動物衛生(Animal Health)のリスク評価として、HPAIとNDという家きんに高い致死率をもたらす2つの疾病の日本における清浄性について評価を実施した結果である。

 同官報において、日本では昨冬12事例のHPAIの発生があったものの、
(1) 各発生事例は、いずれも野鳥により持ち込まれた単発のものであり、他の疫学的な関連は認められず、同国内の飼養家きんの間でHPAIウイルスは循環していない
(2) 渡り鳥のHPAI感染は、家きんでのHPAI発生の継続的なリスクとなり得るが、同国は、潜在的な発生事例を検査し発見する効果的なシステムとともに、発生時の迅速な対応が可能な体制を有している
ことから、NDの清浄性とともに、日本をHPAIとNDの清浄国と判断するに至ったと記されている。なお、本決定は本年7月にパブリックコメントを募集し、寄せられた意見を踏まえて決定されたものである。
 
 今回の決定は、米国政府が実施するリスク評価の一里塚を表しているものの、輸出解禁に向けては米国農務省食品安全検査局(USDA/FSIS)が実施する公衆衛生(Public Health)のリスク評価(同等性評価)も併せて終了する必要がある。以下の図は、日本産鶏肉の対米輸出解禁に向けた主なプロセスを簡潔にまとめたものである。
171107海外情報図(HPAI清浄国)
 なお、FSISによる公衆衛生同等性評価のプロセスの進捗状況は、FSISの国際調整室(Office of International Coordination)のウェブサイトに公表されている。以下のウェブサイトのページから「Equivalence Process Status(同等性プロセスの状況)」を選択すると、「Japan-Poultry(日本−家きん)」の行で、日本産鶏肉に関するリスク評価の進捗状況を確認することができる。
171107海外情報図2(HPAI清浄国)
○ 同等性評価に関するUSDA/FSISのウェブサイト
https://www.fsis.usda.gov/wps/portal/fsis/topics/international-affairs/Equivalence

(参考:ステップごとの状態)
Step1:解禁要請国からUSDA/FSISに対する公的な書面による評価要請
Step2:要請国からの書面による基礎情報の提出
Step3A:提出された基礎情報に不足する部分に関する追加質問の送付
Step3B:追加質問に対する回答を接受し、審査を実施
Step4:FSISによる現地調査の実施
Step5:パブリックコメントの募集
Step6:官報による決定の公表
【調査情報部 平成29年11月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397