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脱脂粉乳公的在庫の売渡入札、過去最高の落札数量(EU)

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 欧州委員会は5月18日、20回目(5月15日実施)となる脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、過去最高数量となる4万1958トンが落札されたと公表した。応札数量も前回から3割以上増え(12万4360トン)、前回も含めた旺盛な応札結果から、現地報道などでは低迷を続ける脱脂粉乳市況が回復しつつあるという見方が強まっている。 
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  現地報道などによると、応札したのは、数量の多い順にベルギー、ドイツ、ポーランド、フランス、オランダ、チェコ、ラトビア、アイルランド、リトアニアの企業であった。
 今回の売渡最低価格は、100キログラム当たり115.50ユーロ(1万5015円)と、前回から10.40ユーロ(1352円)の上昇となった。売渡入札の開始以降、同価格は引き下げの一方であったが、前回に続き2回連続の上昇となっている。なお、同価格は、直近のEU平均卸売価格(5月14日の週平均:145.90ユーロ(1万8967円))より20.8%、公的買入価格(169.80ユーロ(2万2074円))より32.0%下回っている。

※公的買い入れは毎年3月から9月の間に実施されている。2018年3月以降については、各国から買入申請があるものの、欧州委員会は大量の在庫を抱える中、売渡入札を実施していることから、申請を不落とし、買い入れは行っていない。
 
 EU平均卸売価格は、4月9日の週以降、6週連続で前週高で推移している。欧州委員会は、16回目となる1月の売渡入札時に売渡の対象数量を増やしたが、現在の市況を見て、6月に実施する次回も対象数量を増やし、14万4847トンとすることとした。対象となる脱脂粉乳は製造から2年が経過しているものだが、市場の反応の良さに対応したことになる。
 
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 欧州委員会の担当者は5月24日、英国内で行われた乳業者の会合にて、参加者から今後の売渡入札の見込みを問われ、現在の市況動向などを見ると今後も堅調に推移するとみられることから、場合によっては年末までに在庫を売り渡せる可能性があると期待感を示した。現地報道などでも同様の見方が報じられている。なお、欧州委員会は4月に公表した短期見通しにて2018年末の在庫を29万6000トンとしており、欧州委員会の予想を上回る市況の回復状況になっている。
 
 欧州委員会は、当初より売渡入札の実施については、需給バランスの均衡を念頭に市況を見つつ実施していくとしていた。入札開始から1年半が経過する中、公的在庫は依然として30万トン強(EU域内の年間生産量の20%相当)ある。市況の回復による後押しが続くのか、次回の6月19日予定の売渡入札には、引き続き業界関係者からの大きな注目が集まっている。
【調査情報部 平成30年6月1日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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