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国際砂糖機関、砂糖税などの食品・飲料への課税による家計負担に関する調査結果を発表

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最終更新日:2018年7月11日

 国際砂糖機関(ISO)は5月24日、世界保健機関(WHO)が2015年に定めた指針(注1)に基づき、糖類を含む食品や飲料に対する課税(いわゆる「砂糖税」(注2))や、「たくさん消費すると健康に害をもたらす可能性のある食品や飲料」への課税が導入されたとしても、消費抑制効果には疑問がある上、年間数万円の家計消費の増加につながるとする調査結果を発表した。
 ISOは、英国のシンクタンク(Institute of Economic Affairs)とともに、欧米各国のうち家計消費統計を入手できた4カ国において、標準的な収入水準の世帯(親2人、子供2人の4人世帯)における税負担の増加について調査した。この調査では、糖類を含む食品や飲料だけでなく、「たくさん消費すると健康に害をもたらす可能性のある食品や飲料」としてWHOが示した物品(注1参照)も20%の課税が実施され、課税後も以前と同様にこれら物品を消費し続けたものとして、1世帯当たりの負担増加額を分析している(表)。
 
表 1世帯当たり負担増加額
 その結果、各国とも1世帯当たり年間おおむね5〜6万円の支出増(毎週1000円程度の負担増)となることが判明したとしている。ISOは、今回の分析対象はあくまでも「標準的な」収入水準の世帯であるため、所得水準の低い世帯については、負担割合のさらなる増加が予想されるとしている。ISOは、課税を実施したとしても、相当の購入抑制を実現できるか疑わしいとしており、税負担の逆進性(注3)が高いことについても批判している。
 
(注1)
WHOは、糖類を含む飲料に対し20%の税を課し、消費量を20%近く削減することで、肥満や糖尿病を予防できると主張している。また、WHOは、糖類を含む飲料に加え、菓子などの糖類を多く含む食品、さらに、チーズなどの乳製品、穀類、加工肉といった、糖質や脂質、塩分を多く含む食品についても「たくさん消費すると健康に害をもたらす可能性のある食品や飲料」としてリストアップしており、これらについても課税対象とすべきと提唱している。

(注2)
糖類を含む飲料に対する課税については、世界各地で導入が進んでおり、直近では英国で2018年4月に導入されたほか、豪州などでも導入を求める動きが見られている。対象や税額などについては、2018年5月31日付け海外情報「糖類を含む飲料に対する規制強化の動き(英国)」を参照(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002228.html)。

(注3)
食品などの生活必需品の支出の割合は、全支出に占める所得水準の低い者のほうが大きいため、結果的に税負担率が高くなる現象。
 
【平成30年 7月 12日 調査情報部 竹谷 亮佑】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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