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ベトナム企業が日本の協力を受け豚肉を初輸出(ベトナム)

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 ベトナム農業・農村開発省(MARD)は6月下旬、ベトナムで飼料・畜産・食肉などを手掛けるマービングループ社(Mavin Group、MG)がミャンマーに冷凍豚肉を初めて輸出したことを発表した。ベトナムから豚肉が輸出されたのは今回が初めてとなる。
 MG社はホームページにおいて、2018年の3月にミャンマーで最大の人口を擁するヤンゴン市に初コンテナが到着としたとしており、今後、毎月最低でも40フィート型のコンテナ1個分(約26トン)の冷凍豚肉を輸出するとしている。このほか、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工調製品の輸出も視野に入れており、現在、そのための交渉をミャンマーの輸入業者と行っている。今回の輸出は日本の大手商社が協力することで実現しており、MG社は、今後の輸出力強化に向け、6月25日に同社と豚肉輸出支援に関する基本合意書を取り交わしている。

 MARDの副大臣は、基本合意書の調印式において、「MG社は、過去に幾度となく他の企業が挑戦してきた他国への輸出という障壁を打ち破り、ベトナムの豚肉産業に大きな功績を残した。国民は食品の安全性の確保に目が向きがちだが、まずは国内の豚肉の過剰供給に対する措置を講じる必要があり、輸出振興は救済策の一つだ。」と語った。

 2016年末に中国が口蹄疫など伝染性疾病の侵入を防ぐため、国境付近で行われていた豚の密輸などの監視を強化したことにより、行き場を失った豚がベトナム国内に供給されたことから、国内市場は飽和状態となり豚出荷価格の大幅な下落を引き起こした(図)。政府は、この解決策として、食肉加工企業や小売店などに対し、国産豚肉の積極的な買い入れや消費拡大を図るよう指示したり、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国への輸出促進を試みてきた。
 一方で、多くの養豚農家が経営不振を理由に離農したため、豚の飼養頭数は、過去最高を記録した2016年の2908万頭から、2017年は2741万頭、2018年(予測)は2641万頭と減少している。これらのことから、現在の豚出荷価格は下落前の水準まで回復してきているが、現地報道では、あまりにも急な回復なため楽観視は出来ず、今後の動向を注視していく必要があるとしている。

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【青沼悠平 平成30年7月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
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