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2019年の鶏肉生産量は過去最高を記録する見込み(カナダ)

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 米国農務省(USDA)は2018年8月20日、カナダの鶏肉の需給予測に関する報告書を公表した。
 これによると、2018年の鶏肉生産量は、堅調な需要を背景に前年比4.8%増の129万5000トンと見込まれている(注)(表)。2019年は、需要が堅調なことに加え、今後も他の食肉と比べて安価に推移することから、同2.7%増の133万トンと、過去最高を更新すると見込まれている。

(注)カナダの鶏肉生産には、生産割当(クオータ)に基づく出荷・販売規制を行う供給管理制度が採用されている。同制度は、国内需要に見合う出荷数量をクオータとして設定し、そのクオータを州機関を通じてそれぞれの生産者に割り当てることによって、市場の供給量を管理し、合理的な価格水準を維持するというものである。
 

 鶏肉消費量は、過去35年間で3倍に増加している。これは、カナダの人口が増加したことが大きな要因である。また、一人当たりの消費量も、他の食肉に比べて安価で購入しやすいことや、鶏肉に対する低脂肪で健康的であるという近年の認識や消費者の健康志向の高まりなどにより、堅調に増加している。さらに、鶏肉を好む傾向にあるアジアやアフリカからの移民の人口が増加しており、カナダの民族の多様性が鶏肉料理を提供する外食産業の幅を広げている。
 
180907海外情報表(カナダ鶏肉)
 鶏肉輸入量は、2018年に前年比0.6%増の17万5000トン、2019年に同2.9%増の18万トンと見込まれている。カナダにおける最大の鶏肉供給国は、米国であり、輸入量の85%以上を占めている。カナダは、世界貿易機関(WTO)協定により、鶏肉に3万9844トンのミニマムアクセスが課せられている。さらに、北米自由貿易協定(NAFTA)により、前年のカナダ国内の鶏肉生産量の7.5%相当の無税枠が設定されることとなっている。2019年の関税割当数量は、9万5000トンに達し、過去最高を更新すると予測されている。
 ブラジル産の輸入量は、米国に次いで多く、カナダの鶏肉輸入量の10%程度を占めている。しかし、一部では、米国がブラジル産鶏肉の輸入を認可しておらず、ブラジル産を原料にしたカナダ産製品も米国へ輸出できないことから、ブラジル産鶏肉の輸入を控える輸入業者がいる。直近では、冷凍手羽の輸入において、ブラジル産に価格面で優位にあるハンガリー産が存在感を強めつつある。

 近年、消費者の健康志向の高まりなどに伴い、鶏肉需要が増加傾向にあることから、鶏肉産業が成長を遂げる機会であると考えられる。供給管理制度を採用しているカナダの今後の動向が注目される。
【調査情報部 平成30年9月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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