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米国産に報復関税を賦課するも、豚肉輸入は堅調(メキシコ)

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 メキシコ農牧漁業情報局(SIAP)によると、2018年9月の豚肉生産量は、前年同月比6.4%増の12万9000トンとなった(表1)。国内外からの需要が増加していることに加え、飼料価格が安値で推移していることや垂直統合の進展により生産性が向上していることなどが増産の要因と考えられている。メキシコでは垂直統合が積極的に進められており、豚肉生産量の約8割は、企業による垂直統合下で生産されているといわれている。今後、小規模農家がいまだに多く存在する南部地域での垂直統合が進むとみられている。
 メキシコ豚肉生産評議会(CPM)のインクラン会長は、2018年の豚肉生産量は前年比5〜6%程度増加するとの見通しを示している。
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 2018年8月の豚肉輸入量は、メキシコ国内の堅調な需要により、前年同月比17.9%増の7万8000トンとなった(表2)。このうち米国からの輸入量は、報復関税を課した6月以降も前年を上回って推移しており、8月は同4.5%増の6万トンとなった。また、メキシコ政府が輸入先の多角化を図っていることから、スペインからの輸入が大幅に増加した。メキシコ農牧農村開発漁業食糧省(SAGARPA)によると、7月にはスペインから皮なしばら肉(冷凍)が初めて輸入された。なお、スペイン側もメキシコへの豚肉輸出に意欲を示しているとされている。また、ドイツやデンマークからも輸入があり、ドイツ産は6月に史上初めて輸入された。デンマーク産は過去に輸入実績がある。
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 2018年8月の豚肉輸出量は、前年同月比6.2%増の1万1000トンであった(表3)。このうち、最大の輸出先である日本向けは同4.1%増、米国向けは同44.0%増となった。一方、韓国向けは、同国向け米国産豚肉の輸出が堅調なことから、同3.0%減となった。
 メキシコは豚肉の品質向上に取り組み、海外市場への拡大を図っており、2012年には5、6カ国であった販売先は、近年10カ国を超えている。豚肉産業は、今後さらに多くの国への輸出を期待している。
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【渡辺 陽介 平成30年10月31日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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