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ばれいしょでん粉生産量は大幅に減少の見込み(中国)

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最終更新日:2018年11月21日

 米国農務省は10月30日、中国のばれいしょ産業に関する報告書を公表した。この報告書によると、2018/19年度(9月〜翌8月)のばれいしょでん粉の生産量は前年度比25%減の40万トンと見込まれる。これは、原料のばれいしょ生産量の減少と、ばれいしょでん粉製造業者の廃業の影響によるものである。
 背景には、原料となるばれいしょ価格が低迷する中、エタノール需要などで価格が堅調に推移するトウモロコシへ生産を切り替える動きが生産者の間で加速していることがある。また、環境規制の強化に伴い、ばれいしょでん粉生産の過程で発生する廃水への対策が十分にできない中小規模の製造業者が2018年に多く廃業しているという。
 
 ばれいしょは全土で生産されているものの、その半分は東北部から内モンゴル自治区などの内陸部で生産され、加工施設はその地域に集中している。同地域のばれいしょは9〜10月にかけて収穫された後、2月にかけてでん粉や冷凍ポテトなどに加工される。他の地域では、異なる時期に収穫するばれいしょもあるが、加工施設が集中する同地域までの運送コストや長期間の保管が難しいといった点で加工向けに適さないことから、3〜8月にかけてばれいしょ加工品の供給はひっ迫する傾向にある。なお、ばれいしょでん粉については、黒竜(こくりゅう)(こう)省、(ねい)()回族自治区、(かん)(しゅく)省、内モンゴル自治区で約70%を生産している。

図 ばれいしょでん粉の生産主要地域
  
資料:農畜産業振興機構作成

 中国は、2007年2月からEU産ばれいしょでん粉に対してアンチダンピング関税を課している。この措置の対象期間は5年ごとに見直されることとなっており、これまでに2回延長されている。しかし、中国商務部は、国内のばれいしょでん粉がひっ迫する状況を受け、この措置を解除するか否かを再度審査することとしており、この結果は2019年2月4日に公表される。

【岡 千晴 平成30年11月21日発】
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