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英国の砂糖税の税収、当初の予想を上回る見通し(EU)

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最終更新日:2018年11月30日

 英国歳入関税庁は11月20日、2018年4月に導入された「糖類を含む飲料に対する課税(通称:砂糖税)」の税収が10月末時点で1億5380万ポンド(223億100万円)に達したと発表した。同庁によると、本年度(4月から翌3月)における砂糖税の税収は、英国政府が年度当初に見込んだ2億4000万ポンド(348億円)(注1)を上回る可能性があるとした。
 
 英国の砂糖税は、主に子どもの生活習慣病の予防や食習慣の改善の支援に必要な財源を確保する目的で導入され、100ミリリットル当たり5グラム以上の糖類を含む飲料が課税対象となる。
税額は以下の通りで、砂糖税の導入をめぐる詳細な背景や狙いについては、『糖類を含む飲料に対する規制強化の動き(英国)』の記事も参照されたい。
 
 100ml当たり 
 の糖類の含有量 
税額(注2)
 5g以上8g未満   1リットル当たり18ペンス   
 (約26円)
 8g以上   同24ペンス
 (約35円)
 
(注1)為替レートは、1英ポンド=145円(147.90円。2018年10月末日TTS相場の値)である。
(注2)1ペンスは、1英ポンドの100分の1。  
 
 今回の発表に際し、英国財務省高官は子どもたちへの支援財源が確保できる見通しとなったことに安堵した様子をうかがわせつつ、「政府には、次の社会を担う子どもたちが元気で健やかに暮らせる環境を整える責務があるが、飲料業界がその一翼を担うようになったことは大変喜ばしいことだ」とも述べ、需要が冷え込むとの懸念から砂糖税の導入に強く反発してきた飲料メーカー側に対し引き続きの協力と理解を求めた。
 
 他方、英国歳入関税庁が公表した報告書では税収の約9割が24ペンスの税額が適用される飲料からのものであったと述べており、現地報道によると、保健当局は「子どもの砂糖摂取量を抑制するという観点では、現行の砂糖税が有効であるとは言い切れない。飲料に含まれる糖類の量をさらに削減する動きへと進展しなければ、課税の対象を食品全般に広げる可能性がある」と警告したとしている。                     
【坂上 大樹 平成30年11月30日発】
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