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米中貿易紛争は一時休戦(米国)

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 2018年12月1日、トランプ大統領と習近平国家主席の米中首脳会談が行われ、米国が2019年1月1日からの2000億ドル(22兆8000億円:1米ドル=114円)相当の中国製品への追加関税(10%→25%)を猶予する代わりに、中国は1兆2千億ドル(136兆8000億円)超の米国の農産物、エネルギー、工業製品の購入を約束した。今後、12月1日から90日間の内に協議を行い、双方で合意ができなければ、米国は猶予している追加関税を発動させる予定となっている。

 今回の会談の結果は、米中の貿易紛争の影響を強く受けている業界から歓迎されている。その中でも、米国大豆協会(ASA)のジョン・ヘイスドルファー会長は、下記のように述べた。
 「米国と中国の貿易休戦のニュースは、数カ月に及ぶ価格の下落と出荷停止を経験した我々が受け取った、初めての嬉しいニュースである。この関税引き上げの延期が長期的な合意につながれば、大豆産業にとって極めて有益である。中国との貿易関係における損害の修復は、米国の大豆輸出の長期的な成功のために不可欠であり、その開始を期待している。」
 「90日の交渉期間に中国との貿易関係を回復させる信頼構築の段階として、中国が米国産大豆の輸入を再開することを期待している。これは相互に有益な経済関係を回復させるための両国の取り組みを強化する、前向きな機運を示す重要な機会である。」

 トランプ大統領は、会談終了後に米国の農業に関する貿易動向について、ツイッターで「生産者は、中国との貿易交渉による非常に大きな利益をすぐに享受するだろう。中国はすぐに米国産農産物の購入を開始する予定である。我々は世界で最もクリーンで素晴らしい農産物を生産しており、それは中国が望むものである。Farmers、I Love You!」とアピールした。
 貿易紛争の中で、中国は今年7月に米国産大豆に25%の追加関税を賦課した。これにより、世界一の大豆輸入国である中国はブラジルなどの南米地域からの輸入量を大幅に増加させたため、ブラジルの翌年度の大豆の作付け面積は過去最高水準になると予想されている。また、米国産大豆輸出量の半数を占めていた中国市場を一時的に失っている米国は、EUなどに輸出しているものの、これまでの輸出量には到底及ばず、米国内の大豆の期末在庫は増加し続けるなど、世界の大豆の需給バランスは人為的要因により大きな影響を受けている。追加関税が賦課された今年7月は、時期的に南米地域からの輸出が主流であったが、10月以降は米国を含む北半球からの輸出が主流となる。中国では、貿易紛争の長期化に備えて大豆の使用量を減らす対策を講じているが、これからが貿易紛争の影響が強く反映される時期となる。
181214海外情報図(米中貿易摩擦)
 今年の4月と7月に、それぞれ25%ずつ合計50%の追加関税を賦課され、中国向け輸出が大きく減少している米国産豚肉にとっても、首脳会談の結果は朗報となる。中国ではアフリカ豚コレラの発生が継続しており、今後の発生状況によっては、米国産豚肉の輸入を期待する声が中国国内からも高まることも考えられる。
 今回の貿易紛争の一時休戦は、出口が不透明とされていた貿易紛争の妥協点を見出す絶好の機会である。今後の交渉において、一気に全面解決には至らないものの、何らかの緊張緩和に関する方針が示されると期待されており、その行方が注目される。
【調査情報部 平成30年12月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397