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南部を中心に、大豆生産においてさび病の影響が懸念(ブラジル)

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 ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)は12月20日、南部を中心とした主要大豆生産州において、ダイズさび病(注)が113例報告されたと発表した。報告によると、南部主要生産州であるパラナ州で27例、リオグランデドスル州で13例、また最大生産州であるマットグロッソ州でも3例発生が確認されたという。なお、過去最高の生産量となった昨年の同時点では28例、過去5年平均では78例、近年で最も多かった2009年の同時点では292例であり、この年はここ10年で最も少ない生産量となった。

 EMBRAPAは、今般のダイズさび病の発生の原因として、今年の大豆生育期間外の天候が、自生大豆の発生に適していたことを挙げている。これらの自生大豆がダイズさび病の宿主植物となって、その後作付けされた大豆にまでダイズさび病がまん延したと考えられている。

 ダイズさび病の胞子は、宿主植物がない場合、60日程度で死滅するとされている。そのため、ブラジルでは、ダイズさび病のまん延を防ぐために、大豆生産州において3カ月程度の大豆栽培禁止期間が設けられている。しかし、この方法だけでは、大豆を積載したトラックが大豆畑周辺を通行している現状、ダイズさび病まん延の原因の一つとなる自生大豆の発生を防ぐことが出来ないため、ダイズさび病を完全に撲滅することは不可能とされている。

(注)ダイズさび病(病原体:Phakopsora pachyrhizi)は、大豆の葉が落ちるのを早め、豆の形成を阻害することから、単収の大幅な低下につながる疾病である。南米ではパラグアイで最初に確認されて以降、ブラジルやボリビアなどの大豆生産地域にまん延したとされる。
参考
【佐藤 宏樹 平成30年12月26日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805