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2019年の肉用牛・牛肉産業における重点課題(米国)

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 1月30日から2月1日にかけてルイジアナ州ニューオーリンズで全米肉用牛生産者・牛肉協会(NCBA)の年次会合が開催された。毎年この時期に開催される本会合は米国の肉用牛・牛肉業界関係者にとって最大のイベントであり、主催者発表によれば今年は8,774人が参加したとされる。同じ会場で開催される展示会にも多くの企業・団体が出展し、さまざまな農業機器やサービスが紹介された。
 会合では肉用牛・牛肉業界を巡る政策動向を報告する分科会も開催され、業界が2019年に取り組むべき重点課題として次の4点が挙げられた。

(1)フェイクミート(食肉代替製品)に対する規制の強化

 食肉代替製品の製造技術は日々進化し続けており、製造コストも劇的に低下していると危機感を示した上で、「消費者の健康と幸せを守り、不誠実または欺瞞的な販売促進活動を防止し、真の牛肉製品にとって公平な競争環境を確保する規制の枠組みを構築すること」が重要とされた。

(2)市場アクセスの改善

 日本との二国間貿易協定の促進をはじめ、米国-メキシコ-カナダ協定(USMCA)の議会での早期批准および中国やEUにおける米国産牛肉市場アクセスの拡大が目標とされた。
 分科会の場では、はじめに米国産牛肉が様々な輸出先において関税障壁や非関税障壁に直面している現状を示し、貿易協定の必要性が説かれた。具体的には、日本・中国の高い関税率をはじめ、中国・日本・台湾によるBSE関連の規制および中国・EUによるホルモンに関する規制を例示する一方、米国が締結している各種のFTA(北米の自由貿易協定、韓米自由貿易協定、米国-パナマ自由貿易協定、米国-コロンビア自由貿易協定)では、関税と非関税障壁のいずれもが即時、あるいは最終的には撤廃される点が強調された。
 また、米国とFTAを締結していない国の牛肉需要が高まる中、米国と競合する主要牛肉輸出国がそれらの国々において市場シェアを拡大させていることについて焦燥感が示された。分科会の場では、(1)日本がEUとEPAを締結し、かつCPTPP協定(TPP11協定)の加盟国ともなったこと、(2)中国が豪州、ニュージーランドと協定を締結し、また東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を主導する立場にもあることに加え、ブラジル産、アルゼンチン産、EU産牛肉の輸入を許可していること、(3)メキシコがCPTPP加盟国となり、豪州やニュージーランドが同国市場への無税アクセスを獲得したことおよびメキシコがEUと貿易協定を締結したこと、などについて情報提供がなされた。
 ただし、今後の輸出市場に関する報告において日本は最大の輸出先と位置付けられ、トランプ大統領と安倍総理が二国間における貿易協定交渉を希求すると宣言した点に期待感を示すとともに、今後の対日牛肉輸出を見通す上でネガティブな要素となり得る以下2点を指摘した。
 
  1. 干ばつで淘汰が進んでいた豪州において牛群が回復すれば、米国産牛肉の対日輸出にさらなる脅威となる可能性。
  2. 米国食肉輸出連合会(USMEF)の試算によれば、米国が日本との貿易協定を締結できなければ、米国の年間牛肉輸出額の損失は2023年までに5億5000万米ドル、2028年までに12億米ドルを超過する見込み。

 さらに、本分野に関するプレゼンテーションでは、北米で新たに合意に至った自由貿易協定である米国-メキシコ-カナダ協定(USMCA)についても言及がなされた。報告では、同協定下の牛肉・生体牛貿易が従来の北米自由貿易協定(NAFTA)と同様であり、カナダ、メキシコへの無税アクセスが維持された点や、USMCAでは原産地表示規制が含まれなかったことが解説され、発効に当たっては加盟3カ国それぞれの議会で批准される必要があることが再確認された。

(3)次期食生活指針に向けた牛肉摂取の重要性の訴求

 5年に一度見直される食生活指針の改訂作業が2018年2月より始まっている点に関し、食生活指針の科学的信頼性の保護およびバランスのとれた食生活には、栄養的に優れた牛肉が必要であるという情報を正確に宣伝することが必要とした。

(4)2018年農業法をはじめとする各種の法、政策などの適切な施行

 動物衛生対策に潤沢な予算が計上された2018年農業法を評価する一方、同農業法の完全な施行を確実にすることが重要とされた。その他の法、政策に関しては、下記について言及された。
  • 家畜運送業者に対する電子的記録装置(ELD)使用義務づけ猶予期間の維持および過度に制限的な運転時間規制に対する恒久的な解決策の模索。
  • 破滅的な2015年水源規則に代わる新たな水源規則の最終的な決定。
  • 畜産生産者を緊急計画および地域住民の知る権利法(EPCRA)における有害廃棄物排出量報告義務の対象外とすること
  • 種の保存法(ESA)、国家環境政策法(NEPA)および放牧地に関する規則の近代化の完遂。
  • 生産者が抗菌薬を適正に使用するよう推進するとともに、主要な獣医学的技術へのアクセスを保全すること。
【野田 圭介 平成31年3月5日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533



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