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全米肉用牛生産者・牛肉協会年次会合における農務長官のコメント(米国)

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 1月30日から2月1日にかけてルイジアナ州ニューオリンズで開催された全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)の年次会合では、米農務省(USDA)のパーデュー長官が登壇し、今後の貿易政策や2018年農業法の実施に言及する場面があった。パーデュー長官は貿易政策、特に中国との間で続く貿易紛争の話題に大幅な時間を費やし、貿易の混乱が特に米国の農業関係者にとって懸念事項であることを認め、トランプ大統領にそれらの懸念を伝えることを強調した。その他の主な発言内容については下記の通りである。

1 米中協議における前向きな兆候

 米中貿易協議については、高官レベルの協議が“非常にうまく終わった”として、「両国が相互の関係を再建し、持続可能な関係の構築を望む段階に入っていると私は信じている」と述べた。また、「多くの農産品目において中国が主要な顧客であることを考えると、米国の生産者は当然のことながら貿易戦争を心配しているが、この度の長期戦は、中国が国際貿易ルールに従うことを保証することでもある。競争はあるものの、中国は米国の知的財産権を尊重しなければならず、世界市場で不当な利益を得るために、強制的な技術移転や盗難に頼ってはならない」と述べた。

2 USDAは農産物の輸出市場拡大を検討中

 対中輸出に関しては、トランプ政権が中国に対して米国の農産物へ市場をより開放するよう促す努力を続けていると述べた。具体的には、昨年、14年ぶりの再開となった米国産牛肉の対中輸出を最近の成果の1つとして挙げ、交渉担当者は大豆、コメ、とうもろこし他の米国産農産物の主要な輸出先国として、同国向け輸出が元通りに回復されることを望んでいると述べた。しかし、米中の貿易緊張が高まったことから、「我々は1つの大口顧客として中国に過度に依存しないようにする必要がある」とも述べ、USDAがタイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、モロッコ、アルゼンチンといった、米国にとって新たな農産物輸出市場を構築することに取り組んでいるとした。

 なお、USDAの貿易促進プログラム(ATP:米国の貿易相手国による報復関税の影響を埋め合わせることを目的とした、120億ドル(1兆3320億円:1米ドル=111円)規模の貿易援助パッケージの一部)を含む、その他の市場拡大の取り組みも進行中であり、パーデュー長官によると、ATPの下で、57の農業機関に与えられた2億ドル(222億円)の資金は“補助金”ではなく、世界中の新たな農業輸出市場の開拓に焦点を当てた新しいパートナーシップの構築に使用されているという。

3 日本、EUとの貿易協議に注目

 今後の貿易交渉に関しては、欧州連合(EU)および日本との交渉に備えているとした。1月下旬に米国通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー通商代表と面会したことに触れ、同通商代表が「日本が輸出市場として、特に牛肉にとってどれほど重要か」について確認したと述べた。加えて、日本との交渉の焦点の1つは、現在の非関税障壁を排除するために衛生植物検疫措置(SPS)を調整することになると述べた。

 CPTPP発効に伴う、日本市場における米国の競争力低下に懸念を示し、ライトハイザー通商代表が米国の生産者に不利益を被らないように努めたいとしていると述べた。また、パーデュー長官自身も、「米国が日本とより早く良好な協定を結ぶことができると期待している」と語った。

4 農業法の実施は優先事項

 USDAによる2018年農業法の実施に関しては、最近の政府閉鎖により影響を受けたと述べた。しかし、政府封鎖中に人員や予算が限られている中であっても、USDAが新農業法の実施に向けた運用規則の作業を行っていたと述べ、今後はそれらの規則を早急に準備し、その結果、生産者や牧場主に “明快さ” が確実に提供されることを望むと付け加えた。

 農業法に関しては新しいワクチンの備蓄やそれに関連する資金を含む、家畜衛生に関する新しい条項を強調した。家畜衛生対策を一層前進させるべく資金を効果的に使用することを決定できるように、本分野に関してはUSDAのマーケティング・規制プログラム担当次官であるグレッグ・イバッハ氏が中心的役割を担うと述べた。

 その他の規制問題については、輸送、特に、電子的記録装置(ELD)とトラック運送のための新サービス時間帯(HOS)規則が、依然として農業分野の課題であるとした。生きた家畜の運搬、生鮮野菜の取り扱い、および人の健康と安全の確保、の全てを順守すると矛盾が生じるとして、農業分野をサポートするとともに、議会による作業と運輸省との折衝が良い成果を生み出すことに期待をにじませた。
写真 講演するパーデュー農務長官
写真 講演するパーデュー農務長官
【野田 圭介 平成31年3月5日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533



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