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2018/19年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第8回)を公表(ブラジル)

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は5月9日、2018/19年度(10月〜翌9月)第8回目となる主要穀物の生産状況等調査結果の要約版を、同20日に州ごとの分析や細かい講評を加えた完全版を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
 これによると、主要穀物の作付面積および生産量はともに前年度を上回る見込みとなった(表1)。
 トウモロコシの生産量を見ると、第1期作では、主産地であるリオグランデドスル州を中心に単収が回復する一方、ミナスジェライス州などでは、干ばつによる単収減の影響が大きかったことから、前年度をわずかに下回る見込みとなった(図1)。第2期作では、単収の回復による生産増が見込まれている。また、大豆については、パラナ州やマットグロッソドスル州を中心に、干ばつの影響で単収減が見込まれることから、前年度をやや下回る見込みとなった。なお、両作物とも、前回予測より上方修正された(図2)。
表1
図1
参考

トウモロコシ生産は前年度を上回る見込み

第1期作は、リオグランデドスル州とミナスジェライス州で明暗分かれる

 第1期作トウモロコシの生産量は、前年度比2.6%減の2610万4200トンと見込まれている(表2)。
 主要生産州(上位5州)のうち、リオグランデドスル州では、生育期〜収穫期にかけての良好な天候が後押しし、同19.5%増の576万8100トンと好調な生産が見込まれている。加えて、パラナ州では、作付面積が前年度をかなり上回ることに加え、単収も前年度をわずかに上回る見込みとなったことから、生産量は、前回報告から1.6ポイント上方修正し、前年度比9.6%増と見込まれている。一方、昨年度最大生産州であったミナスジェライス州では、大豆への作付けのシフトに加え、昨年12月から今年1月にかけての干ばつの影響で単収の減少が見られていることから、生産量は同14.8%減の459万8200トンと予測されている。
表2

第2期作生産量、単収の回復により上方修正

 第2期作トウモロコシの生産量は、前回報告から1.9ポイント増加し、前年度比28.3%増の6914万9800トンを見込んでいる(表3)。ほぼ全ての生産州において、昨年の干ばつからの回復が見込まれていることから、単収の大きな改善が予測されている。特に、被害が大きかったとされているパラナ州、マットグロッソドスル州、サンパウロ州では、前年度比30%を超える増加率となっている。
表3

マラニョン州で大幅な生産回復

 北東部に位置する新興農業開発地域のマトピバ地域におけるトウモロコシ生産量は、前年度比1.6%増の653万8800トンと見込まれている(表4)。昨年度マトピバ地域最大の生産州であったバイーア州では、第1期作において同州西部地域の小規模生産者の作付面積が減少したことに加え、降雨不足による単収の減少が見込まれることから、同28.3%減とされている一方、マラニョン州では、主に第2期作において、単収が大幅に落ち込んだ前年度からの回復が見込まれていることから、生産量は28.3ポイント上方修正され、同11.5%増となっている。
表4
参考1

パラナ州を中心に干ばつの影響が顕著

 大豆生産量は、前年度比4.2%減の1億1431万3900トンと見込まれている(表5)。今年度は、大豆播種が10月〜11月の春期間に定期的な降雨が見られたことで、記録的なペースで進んだ。しかしながら、12月以降、パラナ州やゴイアス州、マットグロッソドスル州などで、記録的な高温と干ばつが発生したことによる被害が大きかったとされている。一方、リオグランデドスル州では、主要生産州の中では唯一干ばつの被害を受けず、収穫期に向けて良好な天候に恵まれたことから、同11.9%増と一人勝ちの様相を呈している。
表5

マトピバ地域ではトウモロコシ同様バイーア州での降雨不足を懸念 

 マトピバ地域の大豆生産量は、前年度比10.3%減の1339万6400トンと見込まれている(表6)。トカンチンス州では順調な作付けが進んだものの、マトピバ地域最大生産州のバイーア州では、第1期作トウモロコシ同様、降雨不足による単収の減少が見込まれていることから、生産量は前年度を大きく下回るとされている。
表6
参考2
参考3
【佐藤 宏樹 令和元年5月31日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805