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2018/19年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第10回)を公表(ブラジル)

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は7月11日、2018/19年度(10月〜翌9月)第10回目となる主要穀物の生産状況等調査結果の要約版を、同16日に州ごとの分析や細かい講評を加えた完全版を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。これによると、主要穀物の作付面積および生産量はともに前年度を上回る見込みとなった(表1)。
 トウモロコシの生産量を見ると、第1期作では、主産地である南部のリオグランデドスル州を中心に単収が回復する一方、南東部のミナスジェライス州などでは、生産者が大豆の作付けを優先したことや干ばつによる単収減の影響が大きかったことから、前年度をわずかに下回る見込みとなった。第2期作では、単収の回復による大幅な生産増が見込まれている(図1)。一方、大豆については、パラナ州やマットグロッソドスル州を中心に、干ばつの影響で単収減が見込まれることから、過去最大の生産量を記録した前年度をやや下回る見込みとなった。なお、両作物とも、前回予測より上方修正された(図2)。
表1 2018/19年度の主要穀物等の生産予測
図1 トウモロコシと大豆の生産量の推移
(参考)ブラジルの行政区分

トウモロコシ生産は前年度を大幅に上回る見込み

第1期作は多くの州で収穫終了、南部地域と南東部地域で明暗分かれる

 第1期作トウモロコシの生産量は、前年度比2.5%減の2615万3000トンと見込まれている(表2)。
 主要生産州(上位5州)のうち、南部のリオグランデドスル州、パラナ州及びサンタカタリーナ州では、地域によって天候に差があったものの、単収に影響を与えるほどではなかったことから、作付面積、単収共に増加した。収穫はほぼ終了しており、最大生産州であるリオグランデドスル州の生産量は、同19.5%増の576万8100トンと前年度を大幅に上回る見込みとなっている。一方、昨年度最大生産州であった南東部のミナスジェライス州では、大豆への作付けのシフトや干ばつによる単収減があったことから、生産量は同14.8%減の459万8200トンと予測されている。また、同じ南東部のサンパウロ州では、生育期間中の天候に恵まれなかったことから、同13.9%減の195万1800トンと予測されている。
表2 2018/19年度第1期作トウモロコシの主要生産州の生産予測

第2期作生産量、単収の回復により上方修正

 第2期作トウモロコシの生産量は、前回報告から3.1ポイント増加し、前年度比34.2%増の7235万700トンを見込んでいる(表3)。春植えの夏期作物である大豆の収穫が順調に進んだことから、その後播種を行う第2期作トウモロコシに大きな遅延がなかったことや、生育期間中の天候に恵まれたことから、単収の大幅な向上が予測されている。主要生産州(上位5州)の単収をみると、マットグロッソドスル州を除いて前回予測より上方修正された結果、生産量は前年度比30%を超える増加率となっている。
表3 2018/19年度第2期作トウモロコシの主要生産州の生産予測

ピアウイ州で大幅な生産回復

 北東部に位置する新興農業開発地域のマトピバ地域におけるトウモロコシ生産量は、前年度比0.8%減の638万800トンと見込まれている(表4)。昨年度マトピバ地域最大の生産州であったバイーア州では、第1期作において同州西部地域の小規模生産者の作付面積が減少したことに加え、降雨不足による単収の減少が見込まれることから、同31.4%減とされている一方、ピアウイ州では、第2期作の生育期の天候が良好で単収が大幅に回復すると見込まれることから、生産量は同23.8%となっている。なお、同地域の生産量は、全体の約6%を占めている。
表4 2018/19年度のマトピバ地域のトウモロコシ生産予測
参考1 ブラジルのトウモロコシ需給動向

昨年度に続き2番目の生産量を予測

 大豆生産量は、過去最大の生産量となった前年度に比べ3.6%減の1億1501万8200トンと見込まれているが、これは過去2番目に最大の生産量となっている(表5)。今年度は、大豆播種が10月〜11月の春期間に定期的な降雨が見られたことで、記録的なペースで進み、作付面積は前年度に比べ改善した。しかしながら、12月以降、パラナ州やゴイアス州、マットグロッソドスル州などで、記録的な高温と干ばつが発生したことにより単収が減少した。一方、収穫が完了したリオグランデドスル州では、主要生産州の中では唯一干ばつの被害を受けず、収穫期に向けて良好な天候に恵まれたことから、同州では過去2番目の単収を記録し、生産量は同11.9%増とかなりの程度増加している。
表5 2018/19年度の主要大豆生産州の生産予測

マトピバ地域ではトウモロコシ同様バイーア州での降雨不足を懸念 

 マトピバ地域の大豆生産量は、前年度比10.0%減の1344万5300トンと見込まれている(表6)。マトピバ地域最大生産州のバイーア州では、第1期作トウモロコシ同様、降雨不足による単収の減少により、生産量は前年度を大きく下回るのに加え、品質面での低下も見込まれている。なお、同地域の生産量は、全体の約12%を占める。
表6 2018/19年度のマトピバ地域の大豆生産予測
参考2 ブラジルの大豆需給動向
参考3 ブラジルの大豆・トウモロコシの生育カレンダー
【柴ア 由佳 令和元年7月23日発】
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農畜産業振興機構 農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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