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乳業メーカー各社、2019/20年度乳価を発表(豪州)

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 豪州の主要乳業メーカー各社は、2019/20年度(7月〜翌6月、以下「新年度」という)の生産者支払乳価を発表した。各社とも前年比10%以上の値上げとなり、記録的な高値を提示している。
 集乳量第1位と見込まれるサプート・デイリー・オーストラリア社(ワーナンブール・チーズ・アンド・バター(WCB)社分を含む。以下「豪州サプート社」という)(参考1)は、新年度の生産者支払乳価を、乳固形分1キログラム当たり6.80豪ドル(530円:1豪ドル=78円)(参考2)と発表し、前年の同期と比較して18.3%の引き上げとなった。これは、新年度も継続すると見込まれる輸出市況の改善を反映したためである。
 集乳量第2位と見込まれる豪州フォンテラ社は、新年度の生産者支払乳価を、同6.60豪ドル(515円)とし、特にビクトリア州北部の一部酪農家に対しては、同7.20豪ドル(562円)を支払うと発表した。また、2018/19年度末見込みを同6.05豪ドル(472円)としており、干ばつと高い生産コストにより国内の生乳生産量が減少していることに加え、最近のグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の好転とヨーロッパにおける脱脂粉乳の公的在庫の解消を前向きに捉えている。
 現地報道によれば、主要乳業メーカーの一つであるベガ社の提示した生産者支払乳価は、同6.60豪ドル(515円)であるが、ビクトリア州北部の酪農家に対しては、灌漑地域への割り増し金として0.2豪ドル(16円)の上乗せや、新規の長期契約農家への上乗せ(2年契約の場合は、0.25豪ドル(20円)、3年契約の場合は、0.5豪ドル(39円))を提示している。
 その他、バラ社の発表した生産者支払乳価は、同6.40〜6.70豪ドル(499〜523円)であった。
 前年度から続く大規模な干ばつ等の影響により、新年度も引き続き生乳生産量が減少すると見込まれる中、豪州の乳業メーカー間では、集乳量確保のための競争が激化しており、高い生産者支払乳価を設定することで、新たな集乳先の獲得を図っている。
主要乳業メーカーの生産者支払乳価
(参考1)豪州サプート社は、豪州の大手乳業メーカーの一つであるWCB社の筆頭株主でもあることから、同社とWCB社の生産者支払乳価は、統一して設定している。
(参考2)豪州の乳業メーカーの生産者支払乳価は、乳固形分(乳脂肪と乳タンパク質の合計)1キログラム当たりの単価で設定される。2018/19年度の豪州の生乳に占める乳固形分の平均比率は、7.48%となっている。この比率で割り戻すと、乳固形分1キログラムは、生乳13.37キログラムに相当する。
【菅原 由貴 令和元年7月24日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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