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EUと中国、100品目ずつ地理的表示(GI)を相互保護することで妥結

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 欧州委員会は11月6日、EUと中国との間で地理的表示(GI)の保護を相互に認める二国間協定の交渉が妥結し、本協定が「画期的な合意である」と発表した。本協定により、EUの100品目のGIが中国側で、中国の100品目のGIがEU側で保護されることになり、対象品目は合計で200品目となる。
 
 欧州委員会のフィル・ホーガン農業・農村開発担当委員は、「欧州産のGI産品は、その品質で世界的に有名である。消費者は、GI産品の原産地と真正性を信頼しており、その分の高い支出をすることに前向きで、さらに生産者はそれにより利益を得ることができるだろう。本協定は、中国といった世界的な貿易相手と緊密に協力をするという欧州委員会の強い姿勢を示すものである。また、本協定は、両当事者にとっての勝利であり、貿易関係を強化し、双方の農業・食品部門および消費者に利益をもたらすものである」と述べた。
 EUの100品目の内訳は、ワインが54品目と最も多く、チーズは14品目となっている。国別に見ると、イタリアが26品目、フランスが25品目で、両国の産品だけで半分を占める。
 欧州委員会によると、中国向けの2018年9月〜2019年8月(12カ月間)の農産食品(Agri-Food:ワインや蒸留酒を含む)輸出額は128億ユーロ(1兆5744億円:1ユーロ=123円)で、これは、EUの輸出の9%(金額ベース)を占め、米国に次ぐ第2位となっている。
輸出シェア
 欧州委員会によると、GIに関するEUと中国の協力は2006年から始まり、2012年にそれぞれの10品目のGI品目が相互に保護されたことが、今日の協力のスタート台になっているとされている。
 
 本協定に先立ち、EUと中国は2017年6月2日に、両国間の協定による保護の検討対象とされる200品目(双方100品目ずつ)のGIリストを公開し、利害関係者に対し、同リストの品目について、2カ月の意見提出期間を設けた。また、同年中に当該協定の妥結を目指すとしていた。なお、当時公開されたEUのリスト案には、「100品目中、21品目は既に中国側でGIとして登録されている」と注記されている。
 
 本協定の発効には、法的な精査を経た上で、EU側では、欧州議会および欧州理事会の承認を得なければならない。欧州委員会は、2020年内の協定発効を見込んでいる。また、協定発効から4年後に、保護対象品目として、EU、中国ともに、今回の100品目と同様の登録手続きを経た上で、175品目ずつ追加されることも発表された。
【前田 絵梨 令和元年11月13日発】
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