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穀物の生産見通しを発表〜生産量、冬作物は3年連続、夏作物は2年連続減少と予測(豪州)

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 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は12月3日、2019/20年度(7月〜翌6月)冬作物および夏作物の生産予測の見直しを行った(注)
 (注)豪州の冬作物は、3月〜6月に播種、10月〜翌年1月に収穫を行う。夏作物は、10月〜翌年1月に播種、3月〜6月に収穫を行う。また、本発表の段階では、2019/20年度冬作物の収穫期であり、2019/20年度夏作物の播種期である(図)。
図 豪州の穀物生産の流れ (参考)穀物生産地域

【冬作物】作付面積は維持するものの、生産量はやや減少

 冬作物について、作付面積は1804万8000ヘクタール(前年度比0.3%増)とわずかに増加するものの、生産量は、春先の気候が想定外に悪かったことから、2940万5000トン(同3.4%減)と前回の予測(2019年9月)から13.2%下方修正した。この数字は、過去10年間の平均値を27%下回り、記録的な豊作となった2016/17年度(5667万5000トン)から3年連続して減少するとしている(表1)。作付面積がわずかに増加しているのは、穀物や油糧作物のうち、土壌の水分含量が低いことや飼料価格の高騰を受け、乾草用として早期に収穫された面積が、昨年よりも少なかったためとしている。
 地域別にみると、最大の生産地域である西オーストラリア(WA)州およびニューサウスウェールズ(NSW)州南部では、春先の降水量は平均よりも少なく、日中の気温は平均よりも高かった。このため、WA州では同34.9%減と大幅な減少を見込んでいる。
 一方、南オーストラリア(SA)州およびビクトリア(VIC)州の南部の生産地帯の多くでは、春に降雨に恵まれたことから、それぞれの州では、同18.8%、同92.4%と大幅な増加が見込まれる。これにより、VIC州の冬作物生産量の豪州内シェアは、過去10年間の平均が16%であったのに対し、2019/20年度は24%となると見込まれている。
 主要品目別に見ると、小麦は主産地であるWA州の生産量が同40.9%減と大幅に減少することを受け、生産量は1585万2000トン(同8.4%減)と減少を見込んでいる。大麦については、小麦同様WA州では、同24.7%減と大幅な減少が見込まれるものの、VIC州(同109.1%増)およびSA州(同20.5%増)で大幅に増加するため、生産量は867万2000トン(同4.4%増)と増加を見込んでいる。
表1 冬作物の生産見通し

【夏作物】作付面積、生産量ともに大幅に減少

 夏作物については、クイーンズランド(QLD)州およびNSW州北部において、土壌水分レベルがかなり低いこと、豪州気象局(BOM)による同州、同地域の12月から翌年2月までの直近3カ月の降雨予測が平均をかなり下回ることから、作付面積は、53万5000ヘクタール(前年度比49.3%減)、生産量は、124万3000トン(同52.1%減)と大幅な減少を見込んでいる(表2)。
 主要品目別では、ソルガムは、これまでに作付けされた面積はわずかであり、今後の作付けにはかなりの降雨を要するものの、直近3カ月のBOMの予測ではその可能性が低いとしているため、作付面積は24万1000ヘクタール(同51.4%減)、生産量は39万8000トン(同68.9%減)と大幅に減少し、生産量は記録の範囲内で最少となると見込んでいる。綿実については、栽培地域のダム貯水量が極めて低く、土壌水分レベルも生育には不十分であるため、作付面積は8万2000ヘクタール(同76.1%減)、生産量は25万1000トン(同63.4%減)と、大幅な減少を見込んでいる。単収は、QLD州、NSW州でかんがいを利用する生産地域以外の作付面積が大幅に減少することにより、昨年度より大幅に上昇するとしている。米の作付面積は、5000ヘクタール(同0.0%)と前年度から回復することはなく、生産量は5万4000トン(同11.5%減)とかなり大きく減少を見込んでいる。
表2 夏作物の生産見通し
【菅原 由貴 令和元年12月13日発】
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