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北部港からの穀物輸出を支える国道163号線の舗装が完了(ブラジル)

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 インフラ省傘下の国家運輸インフラ局(DNIT)は11月29日、主要穀物生産州であるマットグロッソ州のシノップと北部のパラー州にあるミリチトゥバ港をつなぐ国道163号線の舗装工事が完了したと発表した(図)。国道163号線は1970年代に工事が開始されたものの、財政悪化や関連企業の汚職問題などから完成が遅れていた。最後の未舗装区間であったパラー州のモラエスアルメイダとノボプログレッソ間の51キロメートルの舗装をDNITと陸軍が行ったことでようやく、163号線の全て舗装が完了した。
図
 ブラジルの穀物は、これまでマットグロッソ州から2000キロメートル以上離れたサントス港やパラナグア港などの南部港からの輸出が約8割を占めていた。しかしながら、ブラジルは米国などの穀物主要輸出国と比べて輸送にトラックを使用する割合が高く、輸送コストが高くなる傾向があり、いわゆる「ブラジルコスト」と呼ばれてきた。輸出拡大のためには輸送コストを削減することが重要なカギであり、輸送コストの低いはしけによる輸送の割合を増やす必要がある。北部港からの輸出においては、163号線の北端であるミリチトゥバ港からはしけにより、アマゾン川下流のベレン港やサンタレン港などまで輸送し、大型船に積み替えることができるため、コスト削減につながる。こうしたことから、163号線の工事が進められてきた。これに伴い北部港の開発も行われ、近年は少しずつ北部港の輸出割合が増えており、2019年1〜11月では、北部港の割合はトウモロコシが33%、大豆が31%までともに上昇している(表1、2)。また、これまで未舗装区間では、特に雨季にトラックが何日も立ち往生するなどの事態も起こっていたが、今回、舗装が完了したことからさらなる時間やコストの削減につながり、北部港からの穀物輸出は引き続き拡大するものとみられている。
表1
表2
【山口 真功 令和元年12月18日発】
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