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米中経済貿易協定の第1段階の合意と農業団体の声明(米国)

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 1月15日、第1段階の米中経済貿易協定が合意に至り、ホワイトハウスで米国のトランプ大統領と中国の劉鶴副首相が署名を行った。約1年半にわたる米中双方による報復関税の応酬に一定の目処がつくと考えられているが、中国側が協定に沿った行動を着実に実行するかどうかは不透明であり、今後の動きが注目される。

 今回の協定には、(1)農業、(2)知的財産権、(3)技術移転、(4)金融サービス、(5)通貨、(6)貿易拡大、(7)紛争解決、に関する内容が含まれている。

 農業に関して、米国政府は、今回の協定が、貿易に対する構造的障壁に対処し、米国産の食品、農水産物の輸出の劇的な拡大、農水産業生産者の収入増加、より多くの地域経済活動や雇用の創出を支援するとしている。 食肉、家きん肉、魚介類、米、乳製品、乳児用調製粉乳、園芸作物、家畜飼料および飼料添加物、ペットフード、農業バイオテクノロジー作物など、米国産農産物および水産物が直面する多くの非関税障壁にも言及しており、米国産農水産物の中国市場への参入を促す内容となっている。

 その他、報道によれば、米国は2019年12月15日に賦課する予定であった1600億ドル相当の中国製品への追加関税を中止し、2019年9月に行った1200億ドルの中国製品への追加関税15%を7.5%へと半減させた。一方、3600億ドル相当の中国製品に対する関税は維持された。これらの追加関税は、第2段階の経済貿易協定が合意に至った際に撤廃されることとなっている。

 また、今回の協定では、中国が、工業製品、農産物、エネルギー、サービスの4分野において、米国から今後2年間で2017年の輸入額に加えて2000憶ドル(22兆2000億円)以上購入することとされている。このうち農産物については、大豆、綿花、穀物、食肉、バイオエタノール、水産物などを含む農産物について、2年間で最低でも800億ドル(8兆8800億円)購入するとともに、追加で年間50億ドル(5550億円)購入するよう“努力”することとされている。米中双方は相手が協定の条項に従っていない場合、再度関税を賦課する権利を有している。

 米国通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、「今回の第1段階の貿易協定は、2年以上にわたる交渉の成果である。貿易協定は米国と中国の双方に利益をもたらすだろう。」と述べ、トランプ大統領は、「第1段階の貿易協定の下で、中国は知的財産保護、強制的な技術移転、米国製品の輸入などの分野を含む、実質的で強制力のある合意をした。中国が今後2年間で、毎年400億ドルから500億ドルの米国産農水産物を購入する約束は、貿易紛争が始まる前に中国が購入した農産物を年間で約160億ドル上回る規模である。」とし、貿易協定の成果を強調した。

 米国農務省(USDA)のパーデュー長官は、「今回の合意はトランプ大統領の交渉戦術が有効である証拠となった。中国がトランプ大統領は本気であることに気付くまで長い時間を要したが、今回の合意は経済全体にとって大きな成果となった。最終的には、米国農業が平等な競争条件を獲得し、米国の農家、牧場主、生産者に恩恵を与える。中国は長い間、ルールを守っていなかったが、トランプ大統領が不公平な貿易慣行に立ち向かい、米国を最優先に考えてくれたことに感謝している。米国産農産物を待っている中国の消費者の需要を満たすために、米国産農産物を輸出することを楽しみにしている。」と述べた。

 米国の農業団体は、米国産農産物の中国市場への参入を促進する規制改革やSPS措置の変更、米国産農産物の購入を含む第1段階の経済貿易協定の合意を歓迎している。しかし、中国による協定の着実な実施や中国が課している最終的な報復関税の撤廃を望む声が多く、今後の交渉の行方を注目している。

主な農業団体の声明

アメリカン・ファーム・ビューロー・フェデレーション(AFBF)のデュバル会長

 中国はかつて米国産農産物にとって最大の市場であったが、報復関税が導入されて以降、現在は第5位まで後退した。今回の合意は、約2年間続いた米国産農産物の輸出減少を改善するのに役立つ。何百億ドルもの輸出増加の可能性があることは、平等な競争条件を望む農家にとって歓迎すべきニュースである。

全米豚肉生産者協議会(NPPC)のへリング会長

 中国の第1段階の貿易協定の合意は歓迎するが、米国産豚肉の輸出は中国側の懲罰的な60%の報復関税によって抑制され続けている。協定の利益を最大限に発揮させるためには、中国は少なくとも5年間は米国産豚肉に対する関税を全て撤廃する必要がある。

米国大豆協会(ASA)のゴードン会長

 米国産農産物の購入に加え、バイオテクノロジー作物、SPSおよびその他の懸念される規制に対処する第1段階の貿易協定の合意を称賛する。しかし、今回の合意で大豆に対する報復関税の撤廃が含まれなかったことにより、大豆農家の不安が長引いているため、大豆に対する報復関税の撤廃を望む。

全米穀物飼料協会(NGFA)のウィルキー会長

 合意内容に、中国が農業バイオテクノロジー、家畜飼料、食肉および家きん製品に関する規則、措置を科学とリスクに基づくものにするという内容が含まれたことが重要である。SPS措置を含む非関税障壁を解決するためには、更なる交渉が必要である。第1段階の貿易協定が合意された勢いをそのままに、直ちに第2段階の貿易協定の交渉が始まることを望む。

国際乳食品協会(IDFA)のダイクス会長兼CEO

 酪農業界は今回の貿易協定を歓迎する。今後、既存の関税と非関税障壁を全て撤廃し、米国産乳製品に競争の場を提供する第2段階の貿易交渉が開始することを楽しみにしている。乳製品を含む米国産農産物の購入に加えて、乳児用調製粉乳および長期保存牛乳に影響を与える非関税障壁を縮小するという中国の合意が含まれることは米国政府が達成した重要な中国側の譲歩である。
  第一段階の貿易協定では、中国による国内産業への補助金に対する構造改革を含む多くの複雑な問題は第2段階の貿易協定に先送りされており、第2段階の交渉は難航することが予想されている。トランプ大統領は第2段階の貿易協定の交渉を直ちに行うと述べているが、本年11月の大統領選挙が終わるまで、合意には至らないという予想もあり、中国が着実に協定内容を実行するかどうかも含めて、今後の行方が注目される。
【調査情報部 令和2年1月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533



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