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中国雲南省、新型コロナウイルスが砂糖生産にも影響を与え始める(中国)

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最終更新日:2020年2月21日

 砂糖生産量が中国国内第2位の雲南省(図、表)にある雲南省農業科学院サトウキビ研究所(注)は2月15日、同省の製糖業者などを対象に行った聞き取り調査を基に、湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(2019-nCoV)が雲南省の砂糖生産に及ぼす影響について報告書を発表した。同報告書によると、雲南省でも同ウイルスによる肺炎の感染者が相次ぎ見つかり、感染拡大を防ぐために人や車両の移動などに対して厳しい規制措置が講じられたことから、最盛期を迎えるサトウキビ生産、砂糖生産、製品の輸送の各方面で、すでに影響が出ていることが判明した。
 報告書の概要は以下の通り。

(注)雲南省政府に属する農業に関する試験研究機関。
図 雲南省の位置、表 地域別の砂糖生産量

1.原料不足による生産活動の停止

 交通網の遮断や外出制限などの措置が取られている影響で農作業に従事する労働力が極端に不足している地域が多く、サトウキビの収穫作業が大幅に遅れている。このため、雲南省にある製糖工場の約5分の1は原料を十分に確保できず生産停止に追い込まれている。操業を続ける製糖工場であっても、運送業者の多くが衛生当局からの求めで従業員の出勤停止や営業を自粛しているため、製品が出荷できず、倉庫が満杯状態になっている。

2.サトウキビの品質劣化などによる製糖歩留まりの低下

 収穫されたサトウキビは通常48時間以内に圧搾されるが、圃場(ほじょう)から工場までサトウキビを運び入れるトラックの手配が困難な今、収穫されたサトウキビが3〜5日圃場に放置される事例が増えている。ハーベスタによって細かく切断されたサトウキビは、切り口が多いため微生物の侵入を受けやすく、品質劣化の進行が早まるとされるため、工場への迅速な搬入ができない現状下では産糖量の低下が危惧される。
 また、生産停止した製糖工場では製造ラインに残った半製品の大量廃棄も発生している。

3.サトウキビの植え付けの遅滞

 雲南省では、苗(茎)を植え付けて栽培する新植が栽培面積全体の約3分の1を占める。このうち2〜3月ごろまでに植え付けが終わる春植えの圃場では、労働力不足と苗の供給が滞っている影響で植え付け作業が大幅に遅れている。事態が長引けば今期の植え付けを断念する生産者も出かねず、結果として栽培面積が縮小し、翌年度(2020/21年度〈10月〜翌9月〉)の砂糖生産への影響が懸念される。

4.輸送費の上昇

 製糖工場周辺では、住民が感染を恐れて集落の出入り口の道路を勝手に封鎖するなどの混乱も起きているため、製糖業者は輸送ルートを変更するなどして原料や資材を調達するほかなく、輸送距離も、輸送時間も伸びている。これに伴い輸送費の負担が大幅に増加し、製糖業者の製糖コストは前年度と比べ平均1トン当たり10元(約36円〈2020年1月末日現在のTTS相場:1元=3.59円〉)上昇している。
【坂上 大樹 令和2年2月21日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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