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2019年の食品等の輸入、畜産物が増加(韓国)

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 韓国食品医薬安全処は2020年2月6日、2019年の食品等の輸入動向を発表した。これによると、輸入量は1860万5390トン(前年比0.3%増)、輸入額は281億748万米ドル(3兆992億2800万円:1米ドル=110円(2019年1月末TTS相場)、同2.8%増)となった(表1)。輸入額は農・林産物と水産物が前年より減少した一方で、畜産物と加工食品等は増加した。
表1 農林畜産物・食品の品目別輸入量・額の推移
 畜産物のうち、牛肉については量販店での取扱いの増加や中食などの加工用市場の拡大などから輸入牛肉の需要が増加しているため、輸入量も増加傾向で推移し、2019年は44万3356トン(同6.8%増)となった(図)。輸入先国別にみると、自由貿易協定(FTA)を締結している米国と豪州で輸入量の9割以上を占めている。輸入先別シェアは、米国が2014年の36%から2019年に53%と上昇した一方で、豪州が54%から40%に下落した。
 米国産の輸入量の増加の要因としては、韓米FTAにより毎年関税率が削減されていること(2019年の関税率:18.7%)(注)が挙げられる。
 また、韓国農村経済研究院によると、韓国では、牛肉市場で輸入が占める割合は徐々に大きくなっている状況の中、輸入牛肉の関税率の削減は、価格競争力の強化につながって、国内産と輸入肉の競争は避けられないものと見られている。

(注):韓米FTAによる牛肉(冷蔵・冷凍)関税率は2011年の40%から15年間かけて削減され、2026年には関税率は0%となる。なお、米国は、豪州に先がけてFTAを締結していることから、削減期間中も、豪州(2019年の関税率:24.0%)と比べ低い関税で輸出できることになっている。
図 牛肉の輸入先別輸入量の推移
 なお、韓国農村経済研究院による牛肉需給と価格の見通しでは、国内の子取り用雌牛や子牛の頭数が増加し、全体の飼養頭数も増加すると予想され、生産量は増加傾向で推移すると見込まれている(表2)。国内の生産量の増加に伴い、枝肉価格が継続的に下落すると見込まれることから、輸入量の増加幅は限定的とみられる。一方、1人当たりの消費量は、供給量の増加に伴い、中長期的にも上昇していくと見込まれる。そして、自給率は国内の生産量の継続的な増加が見込まれることから、わずかながらも増加していくと見込まれている。
表2 牛肉需給と価格の見通し
【小林智也 令和2年2月26日発】
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