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USDAとFDA、新型コロナウイルス感染症拡大が続く中、食料供給チェーンの保護強化に関する覚書を締結(米国)

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最終更新日:2020年6月9日

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が続く米国においては、安全で十分な量の食料供給チェーンを確保する方策が講じられているところであるが、米国農務省(USDA)と米国食品医薬品局(FDA)は5月19日、大統領令13917号(注1)を実行するための次の段階として、果物および野菜の加工施設を含むFDAの監督する食料施設の操業停止を防止することを目的とした覚書(注2)を締結したことを発表した。
 本覚書には、FDAが行う事項について6項目、USDAについて同3項目、両機関の合意事項について2項目が明記されており、本覚書の発効に伴い、FDAの管轄下にある食品の製造、加工、包装、保管を行う国内食品関連施設および食品の栽培や収穫を行う施設に関して、USDAが(大統領令13917号によって農務長官が大統領から委任された)国防生産法に基づく権限を行使するための手順が作成されることとなる。
 本発表では、米国内で栽培された多くの果物や野菜が冷凍施設や缶詰工場に送られる収穫の最盛期を迎えようとしていることから、同覚書によりこれら施設の操業を担保することは重要な取り組みであるとしている。
 また、FDAは今後も州や地方の規制当局と協力していくものの、食品供給の継続性を確保するため、必要に応じて国防生産法に基づくさらなる措置が講じられる可能性があり、必要があれば、州、地方などの規制当局や公衆衛生担当部局、産業・産品部門、保健福祉省疾病対策予防センター(CDC)や労働省労働安全衛生庁(OSHA)などの関係者と協議の上、労働者の安全性を確保しつつ、施設の操業再開や維持に向けた道筋を示すとのことである。
 さらに本発表では、USDA、FDAのどちらに規制されているかに関わらず、全ての食料・農業部門は極めて重要なインフラであり、労働者の健康と安全に関するCDCとOSHAのガイドラインに準拠して操業を継続することは公衆衛生のために不可欠であるとし、困難な状況下にも関わらず各家庭への食料供給のため毎日業務に携わっている労働者に対し、感謝の意を表している。
 
注1:COVID-19に関する国家非常事態宣言が適用されている間において、国防生産法(Defense Production Act)に基づき、米国民にたんぱく質を供給し続けるために、牛肉、豚肉、鶏肉の食肉および家きん肉処理場が操業を続けることを命じる大統領令。本大統領令では、農務長官が、食肉および家きん肉処理場以外に、特定の食料供給チェーンの供給源を認定できるとされており、今回の覚書により、USDAの管轄外であるFDAの管轄下の食品施設を認定する際の合意事項が定められた。詳細は海外情報「トランプ大統領、食肉・食鳥処理場の操業継続を命じる大統領令を発出(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002691.html)を参照されたい。

注2:覚書(PDF): Memorandum of Understanding (MOU)
 

(令和2年6月9日発 調査情報部 藤原琢也)

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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