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食肉・食鳥処理場の処理能力、前年同時期の95%超まで回復(米国)

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 既報(注1)のとおり、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大による操業停止、一時休業などが行われていた米国の食肉・食鳥処理場の処理能力は、前年同時期の95%超まで回復している。
 
 米国農務省(USDA)は6月9日、パーデュー農務長官が米国の重要なインフラである食肉・食鳥処理場が安全に再開していることを称賛したというプレスリリースを発出した。
 
 同プレスリリースによると、6月9日朝の時点で、牛、豚、ブロイラーの処理能力はすべて前年同時期の95%以上(牛肉処理場は同98%、豚肉処理場は同95%、食鳥処理場は同98%)に達しているとしている。
また、米国の食肉・食鳥処理場は、保健福祉省の疾病対策予防センター(CDC)と労働省の労働安全衛生庁(OSHA)が示したガイドラインの遵守を命じた国防生産法に基づく大統領令(注2)に従い、安全性を担保しつつ(注3)操業を再開しているとしている。
 
 さらにパーデュー長官は、同プレスリリースにおいて、「トランプ大統領は、米国の食肉・食鳥処理場が安全な方法で再開し、米国の生産者や牧場主が自分たちの生産物を市場へ確実に出荷できるようにするため、決断力のある行動をとった。国民を支えようと食肉・食鳥処理場の従業員、企業、地元当局が迅速に操業を再開したことは国を挙げて称賛するにふさわしく、食肉・食鳥処理場に食料を依存している何百万人もの米国人に対し、素晴らしい様々な食肉を再び提供してくれたことに感謝する。」とコメントしている。
 
 米国の食肉市場は、食肉・食鳥処理場の稼働率低下やレストランの休業などによる需給両面での混乱から卸売価格が乱高下するなど混乱の様相を呈している。実際に4月のと畜頭数を見ると、牛が前年同月比78.5%、豚が同88.9%、ブロイラーが同98.8%とそれぞれ減少したが、食肉・食鳥処理場の稼働率が回復することで、5〜6月以降の供給面での不安が払しょくされ、市場の安定化、沈静化が期待されるところである。
 
【藤原琢也 令和2年6月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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