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EU生産者団体、穀物・油糧種子の生産量見込みを公表。天候不順などによる生産者の所得減少などに懸念表明

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 欧州連合(EU)最大の農業生産者団体である欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(COPA-COGECA)(注)は6月11日、2020年の穀物および油糧種子の生産量見込みを公表するとともに、天候不順などによる小麦および菜種の収量減によって生産者の所得が減少するであろうとして懸念を表明した。
 
 COPA-COGECAは、EU28カ国(EU離脱(BREXIT)の移行期間中の英国含む)の穀物の総生産量見込みが過去5年間の平均である約3億500万トンに達するとするも、小麦については、作付面積の減少(前年比3.5%減)と軟質小麦およびデュラム小麦の両方での単収の減少(同8.3%減)という二重の影響により全体で同11.5%の減産になるであろうとした。これらは、春以降の水不足や害虫のまん延など生産環境の悪化によるもので、これらに対応するためのコストも増加したと指摘した。

 また、油糧種子の同総生産量見込みは減産が続き、3000万トンを下回るとした。これは、主に菜種が干ばつの影響により作付面積が同4.5%減少した他、秋の播種期の大雨と病虫害などの影響により同3.0%減産したためであるとした。

 油糧種子部門の責任者であるPedro Gallardo氏は、油糧種子の生産量の減少については、これまでのEU政策に問題があるとし、「バイオ燃料の利用に上限を設ける一方、それにより副産物である域内産飼料用のたんぱく質原料の消費が減少していることを無視しているだけでなく、森林破壊を伴っているとみられる第三国からの農産物輸入を容認している」と非難した。また、EUの菜種生産者は、病害や害虫駆除対応にも追われており、「菜種の生産はますます困難になる」と現状を指摘した。

 さらに、作付けの減少が続く場合、飼料用のたんぱく質原料の輸入が増加することとなり、欧州委員会の目指す域内たんぱく質生産を発展させる方向性に反する可能性も指摘した。また、一部地域にあっては、養蜂の存続をも脅かす可能性があると指摘した。

 なお、大豆とひまわりの作付面積については、それぞれ同1.4%増、同1.5%増、生産量は両方とも同1.9%増とわずかに増加し、菜種の減産を補うものになるとした。

(注)欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(COPA-COGECA)とは、EU加盟国の2300万人以上の農業生産者によって構成されるCopa(欧州農業組織委員会)および2万2000の農業共同組合により構成されるCogeca(欧州農業協同組合委員会)により組織されたEU最大の農業生産者団体。CopaおよびCogecaは、独立した組織であるものの、両者は共同で事務局を設置し、主にロビー活動を行っている。
【国際調査グループ 令和2年6月18日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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