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スペイン農業保険者連合会、多雨によるにんにく生産への補償を3000万ユーロと見積もる

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最終更新日:2020年7月10日

 スペイン農業保険者連合会(AGROSEGURO)(注)は、多雨によってにんにく生産が受けた被害の補償額が3000万ユーロ(36億9000万円、1ユーロ:123円)に達するという見積もりを発表した。

 春品種の栽培面積の90%に相当する約1万2000ヘクタールに損害があったと示されており、最も被害を受けたのはアルバセテ県、次いでクエンカ県、シウダー・レアル県、コルドバ県となっている。

 今春に発生した多雨や降ひょうなどによって、主に春品種の生産に大きな被害が出ている。補償額は、保険金が請求された1万1822ヘクタールに対して約3000万ユーロと見積もられており、その面積は農業保険に加入している栽培面積(2万1512ヘクタール)の55%、春品種の栽培面積の90%に相当する。

 今回の多雨は、降水日数が多かっただけでなく、ほ場での乾燥期の開始直前と乾燥期間中という重要な期間にかかったため、にんにくの品質を大きく低下させた。春品種は特に雨の影響を受けやすく、収穫前のにんにくが水分を過剰に吸収したり、乾燥中のにんにくに雨が当たったりして腐敗が発生したことによる被害を受けた。さらに、降ひょうの影響により、葉やにんにくの表面が傷つき、結果として生産量などに影響が出た。

 同連合会は、現地確認完了次第、出来るだけすみやかに保険金が支払われるように処理を行っているとしている。

 なお、スペインのにんにく生産量は8割程度が輸出向けとなっている。日本においてもスペインからの生鮮にんにくの輸入量は中国に次いで第2位であり、近年増加傾向で推移している(図)。
図 日本の生鮮にんにくの輸入先別輸入量の推移
(注)民間保険会社・団体によって共同で出資・設立された元受保険会社であり、スペインの農業保険を一元的に取り扱っている組織。スペインの生産農家は、生産のリスク、特にひょうをはじめとする天候リスクへの対策として農業保険に加入している。
                                          【小林 智也 令和2年7月10日発】
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