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2020年上半期の養豚業の利益は、前年同期比19倍(中国)

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 現地報道によると、2020年上半期の養豚業の利益はかなり大幅に増加し、養豚企業は増加した。一方、と畜企業の利益は大幅に減少している。
 現地調査会社によると、2020年上半期の一貫経営農家における利益は、前年同期比1796%増(約19倍)の1頭当たり2311元(3万5821円:1元=15.5円)となった。費用面を見ると、生産コストの大半を占める飼料費は、同5.7%増の1トン当たり2293元(3万5542円)となった。しかしながら、ASF(アフリカ豚熱)の影響を受けて豚肉価格が高騰しており、2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染症(COVID−19)により消費が減退したため一時的に下落したものの、依然として需給ギャップが存在しているため、高価格の傾向に変化はなく(図1)、収益が向上したとしている。
図1 豚肉価格の推移
 このような中、上場養豚企業の株価は高値で推移し、現地データバンクによると、10社近い上場企業で豚飼養頭数が増加し、養豚企業数も増加したとしている。6月30日時点のデータによると、1〜5月の間に前年同期比97%増の6万社以上の養豚企業が新規事業登録されており、総企業数は74万社となった。新たな登録企業は主に農畜産業、漁業および林業を営んでおり、7割以上は個人経営者であるという。また、河北省、山東省、雲南省で約3分の1を占めている。
 一方で、現地調査会社によると、と畜企業の利益は大幅に減少し、前年同期(1〜6月)比78.2%減の1頭当たり14元(217円)であった。多くの地域では利益がマイナスとなっており、同100元(1550円)以下となった企業もある。ASFやCOVID−19により、と畜頭数が大幅に減少する中(図2)、人件費や衛生費などのコストは上昇している。このような中、外出制限により外食などの需要が減少したため、高価で販売することが可能な生鮮肉を即売できずに保管せざるを得なくなった。このため、一部で2019年中に安価で仕入れた冷凍豚肉を高値で販売することで損失を補っている企業もあったが、多くのと畜企業の経営難につながっていると、現地専門家は述べている。
 なお、と畜企業の営業認可について、中国農業農村部は2019年11月に、地方政府に対して、運用の厳格化を要求する通知を発出した。これを受け、環境規制等の要件を満たしていない企業や、老朽化した施設や旧来の技術で食肉処理を行っている小規模企業は、減少しているということである。
図2 と畜頭数の推移
【寺西 梨衣 令和2年7月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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