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欧州委員会、コロナ禍のトマトの短期的需給見通しを公表(EU)

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最終更新日:2020年7月22日

 欧州委員会は2022年7月7日、農畜産物の短期的需給見通し(注)を公表した。今回、このうち、日本のトマト加工品の主要輸入先であるEUのトマト需給について概要を紹介する。
(注)欧州委員会は、農畜産物の短期的需給見通しを年3回(3月、7月、10月)、中期的需給見通しを年1回(12月)公表している。

<加工用トマト>
 2022年の加工用トマト生産量は、前年比14.1%減の1015万トンと見込まれている(表1)。これは、直近5年間の平均生産量と比較して3.2%下回ることになる。減少の要因として、主産地であるスペインとイタリア北部での干ばつに加え、生産者がウクライナ情勢を受けて価格が上昇したトウモロコシやヒマワリなどのより収益性の高い作物を選択したことが挙げられている。
 加工用トマトの消費量は、生産量の減少に加え、豊作であった前年産の加工品在庫の取り崩しが進むことを反映し大幅に減少(同25.5%減)すると見込まれている。その結果、1人当たりの消費量は17.2キログラムとなり、新型コロナウイルス感染症(COVID−19)感染拡大以前の水準に戻ることになる。
 トマト加工品の輸出量(生鮮換算)は456万トンで、同2.9%の増加が見込まれている。一方で、輸入量は221万トンと大幅に減少(同28.1%減)し、COVID−19感染拡大以前の水準に戻ると予測されている。輸入量の減少の要因として、21年産の加工品在庫が積み上がっていることに加え、輸入先であるウクライナの生産量が同75%減少するとの見通しも影響している。
表 トマトの需給見通し
<生鮮トマト>
 生鮮トマトの生産量は減少が続いており、2022年は前年比2.9%減の620万トンと見込まれている(表2)。減少の要因としては、燃料費の高騰によるハウス栽培の減少、単収が少ないミニトマトへの切り替えが挙げられている。
 生鮮トマトの年間消費量はわずかに減少し(前年比1.7%減)、1人当たりの消費量は、COVID−19感染拡大以前の水準(14.6キログラム)にまで減少すると見込まれている。
 生鮮トマトの輸入量は、同3.5%増の73万トンと見込まれている。21年の同輸入量のうち、67%がモロッコ、25%がトルコからであり、トルコからの輸入量は増加傾向にある。
一方で、生鮮トマトの輸出量はモロッコ産との競合の結果、減少傾向にあり、22年には33万トン(同11.7%減)まで落ち込むと見込まれている。
図1 日本の生鮮トマトの国別輸入量の推移
図2 日本のトマト加工品の国別輸入量の推移
【小林 智也 令和2年7月22日】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527