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海外資本が保有する農地は、前年からわずかに減少(豪州)

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 豪州国税局(Australian Taxation Office、以下「ATO」という)は2020年6月19日に、2019年6月30日現在の農地の外国人保有登録(注1)に関する報告書「Register of Foreign Ownership of Agricultural Land」を公表した。報告書によると、2019年6月時点で海外資本が豪州国内に保有する農地(注2)(以下「海外資本農地」という)の面積は、5213万ヘクタール(前年比0.9%減)とわずかに減少した(表1)。地域別では、最も海外資本農地が多いクイーンズランド州が同1.7%減とわずかに減少したほか、ビクトリア州が同6.4%減とかなりの程度減少し た。一方、海外資本農地が最も増加したのは、西オーストラリア州で同1.1%増となった。
表1
 用途別にみると、海外資本農地の用途の大部分を占める畜産は、4461万ヘクタール(前年比1.3%減)とわずかに減少したものの、依然、豪州の畜産業に対する海外からの関心の高さがうかがえる(表2)。また、穀物は178万ヘクタール(同6.2%増)とかなりの程度増加したほか、「その他」においては同3割増と大幅に増加しており、投資用途の多様化がうかがえる状況となっている。
表2
 国・地域別で見ると、定期借地面積(注3)で1位となる中国は、定期借地面積は前年と変わらず、自由保有面積(注3)は前年比2.1%減とわずかに減少した。一方、定期借地面積2位の英国を見ると、定期借地面積は同37万1000ヘクタール減の同4.4%減とやや減少したのに対し、自由保有面積は同85万6000ヘクタール減の同48.5%減と大幅に減少した(表3)。また、定期借地面積において前回上位にいなかったドイツが同101万3000ヘクタール増の同110.1%増、さらに南アフリカも同50万ヘクタール増の同79.2%増といずれも大幅に増加した。
表3
注1:国税局(Australia Taxation Office)は、水及び農地の外国人保有登 録 法 (Register of Foreign Ownership of Water or Agricultural Land Act 2015)の運用状況を毎年財務大臣に報告するとともに、外国人保有地の統計を公表することが義務付けられている。
 外国資本による農地取得の規制強化については、海外情報「外国資本による農地取得の規制を強化(豪州)」(2018年2月16日付。https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002149.html)を参照されたい。

注2:「海外資本による農地」とは、豪州に居住していない個人、国外の企業・政府などが、主に第一次産業を目的として保有している農地を言う。国外の単独の企業などが、農地の20%以上を保有している場合および国外の複数の企業などが、合計で農地の40%以上を保有している場合も含む。

注3:オーストラリアの土地は国家が所有するものとされており、国が個人や企業に対して土地に対する権利を設定することによって、個人や企業は土地を利用する権利を取得できる。土地の利用する権利には、Freehold(自由保有 権)と Leasehold(定期借地権)の2種類があり、前者には無期限に土地を使用・処分できる権利(Fee Simple)がある。後者は一定の期間土地を使用できる権利である。
【廣田 李花子 令和2年7月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:(担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4394