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輸入牛乳の迅速な検疫方法を試行(中国)

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中国海関総署(日本でいう税関)は、一部の税関における低温殺菌牛乳(注1)の輸入手続の迅速な検疫方法の試験的導入を承認していたが、2020年10月10日に青島(チンタオ)税関栄城支所(注2)において、この方法の下で初めてとなる商品が検疫を受けたと発表した。今回の商品は、到着日に検疫を受け、同日のうちに店頭で販売されたという。
注1:中国では、常温保存が可能なロングライフ牛乳(滅菌牛乳)以外の冷蔵保存が必要な牛乳を「低温殺菌牛乳」という。
注2:栄城港は、山東省における輸入乳製品の主要な港湾の一つであり、主に韓国から牛乳や発酵乳、クリームなどが輸入されている。
 低温殺菌牛乳は飲用乳の衛生基準を満たし、かつ、生乳に含まれる栄養と風味の保持が可能となるが、消費期限である7〜15日の間、輸送、保管、販売など全ての行程において低温冷蔵が必要であり、通関や物流で要求される管理水準が高い。
 従来の輸入検疫では、税関による商品抽出検査の期間中、企業は商品を保管倉庫に留め置く必要があり、また、検査に合格した後でないと商品を販売することはできないため、必然的に店頭での販売期間が短くなる。
 一方、今回の輸入検疫では、中国政府から輸入業者としての認定を受けている企業が、輸入前に予め商品を政府に登録し、過去の輸入状況に基づいて商品のリスク評価を受けることにより、当該企業が登録商品を輸入する際、検疫手続の簡略化を可能としている。この場合、検疫期間を最大で7日間短縮することができるため、店頭での販売期間が平均で約30%伸長されるとともに、冷蔵コンテナ使用料などの検疫期間中の保管及び運搬などの費用を節約することが可能となり、40フィートの冷蔵コンテナ当たり、約1700元(約2万7030円:1元=約15.9円)のコスト削減が図られるとされている。
 今回低温殺菌牛乳を輸入した威海徳裕貿易有限公司のゼネラルマネージャーは、「今回の検疫方法により商品の販売期間が延びることで、中国の消費者は新鮮でより健康的な食事を享受できる。」と話している。
写真:北京市のスーパーマーケットで販売されている韓国産低温殺菌牛乳
写真:北京市のスーパーマーケットで販売されている韓国産低温殺菌牛乳
1リットル当たり約40元(約636円)(2019年6月撮影)
 なお、中国は主にドイツやニュージーランド(以下、NZという。)などから飲用乳を輸入している(表1、2)。
表1 牛乳の国別輸入量の推移
表2 牛乳の国別輸入単価の推移
【寺西 梨衣 令和2年11月2日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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