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2020/21年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第2回)を公表(ブラジル)

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 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は11月8日、2020/21年度第2回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図)。この調査は、春播きの夏作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋播きの冬作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。

トウモロコシ生産量は前回公表より下方修正されたものの、3年連続で増加

 2020/21年度(第1〜第3期作)のトウモロコシ生産量は、前回公表より作付面積が減少したため27万6500トン下方修正され、1億489万700トンと予測されたが、CONABが統計を取り始めて以来、最多となった前年度比では2.3%増となり3年連続で増加すると見込まれている。
 トウモロコシの生産は、現在、中南部地域を中心に第1期作の作付けが行われている。一部の地域では、乾燥気候のため土壌水分が不足し作付けが困難となっているが、降雨に恵まれた地域では作付けが行われ、10月末時点で全体の半分程度の作付けが行われた。
 生産量の4分の1程度を占める第1期作トウモロコシの生産量は、前年度比3.1%増の2648万9000トンと前年度をやや上回ると見込まれている。主要生産州別にみると、最大の生産州である南部のリオグランデドスル州では、干ばつにより大きな被害を受けた2019/20年度より44.8%増と大幅に回復するとしている。同州では、播種時期に当たる9月には土壌水分の状況が良好であったものの、10月には州の大部分で干ばつとなり作付けにブレーキがかかり降雨待ちの状況となっている。また、これに次ぐ南東部のミナスジェライス州では、トウモロコシ価格の上昇を背景に作付面積が増加し、生産量が同2.1%増とわずかに増加するとしている。
 また202/21年度のトウモロコシの需給動向は、生産量が増加する一方で、好調な畜産物輸出を背景として飼料需要が増加し、また輸出量も前年を上回ると見ている。このため、期末在庫は、同9.9%減と前年度をかなりの程度下回ると見込まれている。

大豆生産量は良好な市場環境を背景に前回公表より上方修正

 2020/21年度の大豆生産量は、前回の公表より作付面積が増加したため130万4600トン上方修正され、前年度比8.1%増の1億3495万3200トンと前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。これは、前年度に続き中国からの需要が強いこと、為替が米ドルに対しレアル安となっていることで現地通貨での生産者の手取り額が増えていること、さらに大豆価格が高水準であるなど市場環境が良好であり生産者の増産意欲が強いためであるとしている。この結果、生産量は、前年度の記録を更新し過去最大となり、前年度に続き世界最大の大豆生産国になると見込まれている。
 大豆の生産は、大部分の地域で現在作付けが行われている。10月上旬には、降水量不足により作付けの遅れが見られたものの、その後まとまった降雨に恵まれ、今後もこの状況が続けば問題なく作付けが進むとしている。
 主要生産州別にみると、最大の生産州である中西部のマットグロッソ州では、9月〜10月の降水量が不十分なため作付けが大幅に遅れたが、10月中旬以降、集中的に作付けが行われている。同州の生産量は、市場環境が良好であることから作付面積が増加し、同2.7%増と前年度をわずかに上回ると見込まれている。
 また2020/21年度の大豆の需給動向は、生産量が増加する一方で、中国からの需要を背景に輸出が順調に進行することに加え、国内経済の成長、輸出向けの食肉需要およびバイオディーゼル需要を背景として国内消費の需要が強いことから、期末在庫は依然として低水準になると見込まれている。
表
図
参考
【井田 俊二 令和2年11月20日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9472