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英国食肉加工協会、食肉処理場従業員へのCOVID-19ワクチンの優先接種を要請(英国)

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 英国食肉加工協会(British Meat Processors Association)は11月20日、北アイルランド食肉輸出業者協会などと共同で、食肉処理場の従業員に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種の優先順位を医療従事者に次ぐ位置付けとすることを政府のワクチン・予防接種合同委員会に要請した。

 同協会のニック・アレンCEOは、「食品加工を行う上で、食肉処理場内の作業環境を低温に維持しなければならないことが課題となっている(注:換気による温度変化は受け入れ難いとの意味)。加えて、多くの食肉処理場は農村部に位置しているため、労働者は、宿泊施設や通勤手段を共有せざるを得ないことが多い。こうした要因が食肉処理場に基本的に存在しているため、従業員が新型コロナウイルスに感染するリスクが高くなっている。食肉処理場の従業員がワクチン接種を受けることができれば、地域社会に必要とされる安全や安心が確保されると同時に、必要不可欠な食品供給が円滑に継続することができる」とした。

 英国では9月から新型コロナウイルス感染者が再び増加しており、政府は11月5日からイングランド全域でロックダウン(都市封鎖)を行っているが、12月2日にこれを解除し、各地域の警戒レベルに応じた段階的な封鎖制度を再導入すると発表している。なお、政府は、医薬品の規制に関する法律を改正し、新型コロナウイルスのワクチン承認を迅速に行えるようにしたことから、ワクチンの早期接種開始への期待が高まっており、今回の要請はワクチン接種開始に乗り遅れまいとした業界の意向を示したものとなっている。

 なお、COVID−19による食肉産業への影響として、欧州委員会が10月に公表した食肉の短期的需給見通し(注)の中でも、COVID−19による食肉処理場の操業停止などの影響から、2020年上半期の牛肉生産量が前年同期より2.4%減少したことが報告されている。
【小林 智也 令和2年12月2日発】
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