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キャッサバに関する国家政策(2020−2025)を発表(カンボジア)

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最終更新日:2021年2月19日

 2021年1月14日、カンボジア商務省、同農林水産省および国連開発計画(UNDP)は、カンボジアにおけるキャッサバの生産と輸出の拡大を目的に「キャッサバに関する国家政策(2020−2025)」を発表した。
 この政策は、カンボジア国内でキャッサバの生産から加工までを一貫して行い、同国が国際市場におけるキャッサバ製品の供給国となることを目指すものであり、以下の3つの目標を定めている。
 
目標
  1. キャッサバ生産を、生活維持を目的としたものから、商業ベースでの所得創出へ転換すること。価格変動を注視し、持続可能な農地利用や「クライメート・スマート・アグリカルチャー(気候変動対応型農業)」の観点から所得を創出するよう、農家の収益性を向上させること。
  2. 付加価値のあるキャッサバ製品を製造し、多様な市場への供給を目指すべく、キャッサバ分野への投資を募り、積極的に国内のキャッサバ加工業者を支援すること。
  3. 国際市場への新規参入者の立場から脱却し、市場シェアの拡大を図るべく、貿易の円滑化を進め、貿易関連経費の削減に努めることによって、輸出競争力を高めること。
 これらの目標を達成するために、政府はカンボジア農業開発研究所(CARDI)などと協力して技能向上のために研修を実施することや、キャッサバ加工工場と貿易港間のインフラを整備することなどを検討している。この政策は、カンボジアの農業や経済の発展に寄与し、貧困の削減に繋がるものとして、国内外から注目されている。

カンボジアにおけるキャッサバ生産の概要

 カンボジアにおいて、キャッサバはコメに次ぐ主要農産物であり、農家の重要な収入源の一つとなっている。国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、近年、カンボジアのキャッサバ生産量は増加傾向で推移しており、2019年の生産量は1373万トン(前年比7.3%増)であった(図)。これは世界で第7位、アジアではタイ、インドネシアに次ぐ第3位のキャッサバ生産量に当たる(表)。
図
表
 同国で生産されたキャッサバは、生芋またはキャッサバチップなどに一次加工された状態で、主にでん粉原料用として近隣国のタイやベトナムへ輸出されている(注)。カンボジア国内でもでん粉生産は行われているが、近隣国と比較して製造設備や技術力が不十分であるとされている。
 カンボジア政府は、原料としてのキャッサバも重要な輸出品目としつつも、今後は上記目標の実行を通じ、でん粉など付加価値のあるキャッサバ製品の生産量を増やし、輸出することを目指している。
 
(注)タイはアジア最大のキャッサバ生産国であり、中国を最大の輸出先国としているが、農地に限りがあることなどから今後、作付面積を増やすことは困難とされている。そのため、カンボジアやラオスなどの近隣国からキャッサバを輸入することで、国内外のキャッサバ製品の需要の増加に応えている。
【荒川 侑子 令和3年8月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:調査情報部)
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